ダブルボトムができたから買った。三角持ち合いを上に抜けたから買った。本に書いてあるとおりの形なのに、入ったとたんに逆に動いて損切り。FXを始めたばかりのころ、僕はチャートパターンの名前をたくさん覚えれば勝てるようになると思っていました。でも実際は、覚えれば覚えるほど、入る回数だけが増えていきました。
いまならその理由がはっきり分かります。チャートパターンは「どんな形か」よりも「どこで出たか」で、使えるかどうかが決まるからです。今日は、代表的なチャートパターンの一覧と、僕が実際にチャートパターンを使うときに見ていることをまとめます。
- チャートパターンとは何か、なぜ形になって表れるのか
- 初心者がまず覚えたい代表的なチャートパターン6つ
- 形を覚えても勝てない理由
- 僕がチャートパターンで入る前に確認している3つのこと
FXのチャートパターンとは?参加者の「迷い」と「決断」が形になったもの
チャートパターンとは、値動きがくり返し作りやすい、特徴的な形のことです。形そのものに不思議な力があるわけではありません。相場に参加している人たちが、同じような場面で同じように迷い、同じように決断するので、結果として似た形ができあがります。
たとえば、高値を2回試して2回とも超えられなかったとき、買っている人は「もう上がらないかもしれない」と感じ始めます。そこで売りが増えると、2つの山ができて、ダブルトップという形になります。つまりチャートパターンは、たくさんの人の気持ちの動きを、チャートの上で見えるようにしたものだと考えると分かりやすいと思います。相場の参加者の気持ちについては、FXの大衆心理の記事でもくわしく書いています。
だからこそ、形だけを切り取って見るのではなく、「その形ができるまでに、どんな流れがあったか」をセットで見ることが大切になります。これが今日の記事の中心になる考え方です。
チャートパターンは大きく「反転型」と「継続型」の2種類

チャートパターンは、本やサイトによっては20種類以上紹介されています。でも最初から全部を覚える必要はありません。大きく分けると、次の2種類だけです。
- 反転型:それまでの流れが終わって、逆向きに変わりやすい形(ダブルトップ・ダブルボトム・三尊など)
- 継続型:いったん休んだあと、それまでの流れがまた続きやすい形(三角持ち合い・フラッグ・ボックスなど)
この2つの区別がついていると、形を見たときに「流れが変わりそうなのか、続きそうなのか」という大きな方向を考えやすくなります。ここからは、それぞれの代表的な形を順番に見ていきます。
反転型①:ダブルトップ・ダブルボトム
ダブルトップは、同じくらいの高さに山が2つできて、その間の谷(ネックライン)を下に抜けていく形です。上昇の流れが終わるときに出やすく、「2回挑戦しても上に行けなかった」という買い手のあきらめが形になっています。ダブルボトムはその逆で、谷が2つできて、間の山を上に抜けていく形です。
教科書的には「ネックラインを抜けたら入る」と説明されることが多いです。ただ、ネックラインを抜けた直後は、抜けたように見えてすぐ戻ってくる「だまし」もよく起きます。僕は抜けた瞬間ではなく、抜けたあとの値動きを見てから判断するようにしています。このあたりの考え方はブレイクアウトのだまし対策でくわしく書いています。
反転型②:三尊(ヘッドアンドショルダー)と逆三尊
三尊は、真ん中の山がいちばん高く、その左右に少し低い山がある形です。仏像が3つ並んでいるように見えることから、この名前がついています。高値を更新できなくなった上昇トレンドの終わりに出やすく、ダブルトップよりも「上がる力が弱ってきた過程」がはっきり見える形です。谷を逆にしたものが逆三尊で、下降トレンドの終わりに出やすくなります。
三尊は有名なぶん、だましにあう人も多い形です。僕が三尊をどう見ているかは三尊パターンを有効に活用する方法にまとめているので、あわせて読んでみてください。
継続型①:三角持ち合い(トライアングル)
三角持ち合いは、高値がだんだん切り下がり、安値がだんだん切り上がって、値動きの幅が三角形のように小さくなっていく形です。買いたい人と売りたい人の力がつり合って、どちらにも決めきれない状態を表しています。そのぶん、どちらかに抜けたときには、たまっていた注文が一気に動きやすくなります。
ここで気をつけてほしいのが、5分足の三角持ち合いを抜けたから入る、というやり方です。コミュニティのメンバーからも、この形でのエントリー報告はとても多いのですが、僕はいつも「抜けた先に何があるか」を聞き返しています。抜けたすぐ先に上位足の水平線があれば、そこで跳ね返される可能性も同じくらいあるからです。抜けていく理由と同時に、止められる理由も一緒に見ておく必要があります。
継続型②:フラッグ・ペナント
フラッグは、強い上昇(または下落)のあとに、少しだけ逆向きに平行な幅で調整してから、また元の方向に進む形です。旗ざおの先に旗がついているように見えるので、この名前がついています。調整の形が三角形になるものは、ペナントと呼ばれます。
フラッグは、強い流れの途中で出る「ひと休み」の形です。そのため、押し目買い・戻り売りと考え方はほとんど同じです。調整がどこで止まり、また元の方向に動き出すのを確認できたときに、はじめて使える形になります。
継続型③:ボックス(レンジ)からのブレイク
ボックスは、同じくらいの高値と安値の間を、行ったり来たりしている形です。いわゆるレンジ相場のことで、その上限か下限を抜けて、新しい流れが始まる場面を狙います。僕がいちばんよく使うのは、実はこの形です。流れのある相場がいったん止まって、力をため込む時間があり、そこから同じ方向にもう一度動き出す。この「停滞のあとの動き出し」は、伸びやすく、損切りの場所もはっきり決めやすいからです。
レンジの中で何をするか、どこで入るかについては、レンジ相場の見極め方と対応でくわしく書いています。
チャートパターンの形を覚えても勝てない理由

ここまで代表的な形を紹介してきましたが、正直に言うと、形の名前を覚えただけでは勝てるようにはなりません。理由は3つあります。
1つ目は、同じ形でも、出た場所によって意味が変わるからです。上位足が下降している途中で出たダブルボトムは、大きな下げの中のひと休みにすぎないことがよくあります。一方で、上位足の押し目や、何度も意識されてきた水平線の上で出たダブルボトムは、大きな流れと形の向きがそろっているので、狙いやすくなります。
2つ目は、形が完成するのは、あとから見たときだからです。チャートを見返すと、きれいなダブルボトムがたくさん見つかります。でもリアルタイムでは、2つ目の谷ができている途中で、それがダブルボトムになるのか、そのまま下に抜けていくのかは分かりません。形を探そうとすると、「ダブルボトムになってほしい」という気持ちで、まだ完成していない形に入ってしまいます。
3つ目は、形がきれいでも、利益を取れる幅がないことがあるからです。この点はとても大事なので、次の見出しでくわしく書きます。
僕がチャートパターンで入る前に確認している3つのこと

僕がチャートパターンを見つけたとき、入る前に必ず確認しているのは次の3つです。
確認①:どこで出たか
その形が、上位足の水平線や、キリのいい価格(キリ番)、押し目など、たくさんの人が意識している場所で出ているかを見ます。意識される場所で出た形ほど、多くの人が同じように判断するので、形どおりに動きやすくなります。反対に、何もない場所で出た形は、ただの小さな波であることが多いです。水平線の引き方はFXの水平線の引き方を参考にしてください。
確認②:上位足の流れと同じ向きか
5分足できれいな形が出ても、1時間足や4時間足の流れと逆向きなら、僕は入りません。小さな足の形は、大きな足の流れに簡単に飲みこまれてしまうからです。上位足から順番に見ていく手順は、マルチタイムフレーム分析のやり方でくわしく書いています。
確認③:ターゲットまで何pipsあるか
これが、いちばん見落とされやすいポイントです。形がきれいでも、入る場所から次に止められそうな場所(上位足の水平線やキリ番)までが3pipsや5pipsしかないなら、僕は入りません。スプレッドや少しの逆行だけで、取れる利益がほとんどなくなってしまうからです。逆に、ターゲットまで15pipsくらいあって、損切りの場所が近くに決められるなら、入る価値があると判断します。このリスクとリターンの考え方は、リスクリワード比の考え方とつながっています。
実例:サポートの谷ですぐに入らず、割れるのを待った場面

僕がYouTubeの動画で解説した場面を、形だけ簡単にしてお伝えします。上昇と下落をくり返しながら、高値が少しずつ切り下がっている相場でした。下にはサポート(何度か反発している谷)があります。形としては、高値が切り下がり、サポートを割れば下に行きやすい、よいパターンです。
ここで多くの人がやってしまうのが、サポートの谷の近くで、すぐに売ってしまうことです。谷は何度も反発してきた場所なので、ここで売ると反発上昇でやられやすくなります。仮に最終的には下に落ちたとしても、途中の戻りにたえられずに損切りしていたら、結果は同じ負けです。これをくり返すと、いわゆる損切り貧乏になってしまいます。
僕がやったのは、谷の上で値動きが止まり、上がる力もないことを確認してから、サポートを割ったところで売ることでした。停滞している時間は、反発を期待する人たちの注文がそこに集まっているということです。だから損切りの場所を近くに置けます。そして、下にはキリ番があり、そこまで15pipsほどの距離がありました。損切りは小さく、ターゲットまでは十分な幅がある。この条件がそろったので入りました。
大事なのは、ここまで待てるかどうかです。形がよくても、谷で我慢できずに入ってしまう。これが、チャートパターンを知っているのに勝てない人のいちばん多いパターンだと、僕は感じています。
チャートパターンでよくある失敗3つ
最後に、チャートパターンを使い始めた人によくある失敗を3つまとめておきます。
- 失敗①:形が完成する前に入る……「ダブルボトムになりそう」の段階で買ってしまう。形は、ネックラインを抜けて、その後の値動きを見るまで完成していません。
- 失敗②:たくさんの形を同時に探す……覚えた形を全部チャートの中から探そうとすると、どこでも入る理由が見つかってしまい、エントリーの回数だけが増えていきます。これはポジポジ病の入り口でもあります。
- 失敗③:キリ番の手前まで引っぱる……形どおりに伸びても、キリ番の近くは反発されやすい場所です。僕はキリ番の手前を決済の目安にしていて、そこから先は無理に引っぱりません。
僕が実際に使っている形は、じつはそれほど多くありません。自分が得意な数個の形を決めて、それが「意識される場所」で「上位足と同じ向き」に出て、「ターゲットまで幅がある」ときだけ入る。1週間に数回しかチャンスがないこともありますが、それで十分だと考えています。
よくある質問
チャートパターンは、何種類くらい覚えればいいですか?
最初はこの記事で紹介した6つで十分です。たくさん覚えるよりも、1つか2つの形を、実際のチャートで何十回も見るほうが力になります。どこで出たときに伸びて、どこで出たときにだましになったのかを、自分の目で確かめてみてください。
チャートパターンは、どの時間足で見ればいいですか?
形そのものは、どの時間足にも出ます。ただ、大きな時間足で出た形ほど、多くの人が見ているので意識されやすくなります。デイトレードなら、4時間足と1時間足で流れと場所を確認して、5分足の形で入るタイミングをはかる、という使い方がおすすめです。
形が崩れたときは、どうすればいいですか?
形が崩れたら、そのトレードの前提がなくなったということなので、損切りします。たとえばダブルボトムで買ったのに、2つ目の谷を下に抜けたなら、形は崩れています。「もう少し待てば戻るかも」と考えてしまうと、損失が大きくなりやすいので注意してください。
インジケーターと組み合わせたほうがいいですか?
組み合わせても大丈夫ですが、必須ではありません。僕はふだん、とてもシンプルなチャートでトレードしています。インジケーターを増やすよりも、水平線とキリ番、上位足の流れを見るほうが、チャートパターンは使いやすくなると思います。
まとめ
- チャートパターンは、参加者の迷いと決断が形になったもの
- 大きく分けると「反転型」と「継続型」の2種類。最初は代表的な6つで十分
- 形の名前よりも「どこで出たか」「上位足と同じ向きか」「ターゲットまで何pipsあるか」が大事
- 谷や山の近くで急いで入らない。止まって、力がないことを確認してから入る
- 得意な形を数個にしぼって、その形が条件のそろった場所に出るのを待つ
まずは、いつも見ている通貨ペアの1時間足をさかのぼって、ダブルトップかダブルボトムを1つ探してみてください。そして、その形が「どこで出ていたか」「ターゲットまで何pipsあったか」を確かめてみると、使える形と使えない形の違いが見えてくると思います。
この記事は、FXデイトレード手法の基礎の「場所とタイミング」をくわしくしたパートです。流れの見方はダウ理論の使い方とFXのトレンドの見分け方、全体の流れはFX初心者ロードマップもどうぞ。
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