レンジの上限や直近の高値を上に抜けた。「ここから一気に上がるはず」と思って買ったら、すぐに線の下へ戻されて損切り。そして損切りしたとたん、今度は本当に上がっていく。ブレイクアウトの「だまし」に、こんな形でやられた経験はありませんか。
僕もFXを始めたころは、これを何度も繰り返しました。ただ、あるときから抜けた瞬間には入らないと決めてから、だましで負けることはぐっと減りました。今日は、だましがなぜ起きるのか、そして僕がブレイクアウトでどう待っているのかを、具体的にまとめます。
- ブレイクアウトと「だまし」の違い
- だましが起きる理由
- 抜けた瞬間ではなく「戻り」を待つやり方
- エントリー前の4つの確認
- だましに遭ったときの損切りの考え方
ブレイクアウトとは?「だまし」とは?
ブレイクアウトとは、水平線やレンジの上限・下限、トレンドラインなど、多くの人が意識している価格帯を、価格が抜けていくことです。長く止められていた場所を抜けると、そこから新しい流れが始まることがあるため、エントリーのきっかけとしてよく使われます。
一方で「だまし」とは、一度は抜けたように見えたのに、すぐに元の場所へ戻ってきてしまうことです。「フェイクブレイク」とも呼ばれます。抜けた方向に入った人は、その場で含み損を抱えることになります。

ここで大事なのは、抜けた瞬間の見た目は、本物のブレイクもだましもほとんど同じだということです。違いが分かるのは、抜けたあとの動きを見てからです。つまり、抜けた瞬間に入る人は、本物かだましかを確かめないまま、半分は運に任せてエントリーしていることになります。
だましが起きる理由
だましが起きる理由はいくつかありますが、根っこにあるのは「みんなが同じ場所を見ている」ことです。
- 抜けたら買おうと待っていた人の買いが、抜けた瞬間に一気に入る
- それまで売っていた人の損切り(買い戻し)も、線のすぐ上に集まっている
- その一方で、下から買っていた人の利確(売り)も、ちょうどその価格帯に集まりやすい
抜けた瞬間は、飛び乗りの買いと損切りの買いで一気に上がります。ところが、その買いが出尽くしたところで、利確の売りや、もともとの売り手の注文にぶつかると、上がる力が続かずに押し戻されます。これがだましのよくある流れです。水平線がよく効く場所ほど、注文も集まりやすく、だましも起きやすい。少し皮肉ですが、これが相場の性質だと僕は考えています。
僕の失敗談:高値を抜けた瞬間に買っては、戻されていた
始めたばかりのころの僕は、「抜けた=チャンス」だと思い込んでいました。高値を1pipsでも超えたらすぐに買う。乗り遅れるのが怖かったのです。そして、抜けた直後に戻されて損切り、を何度も繰り返しました。
いま振り返ると、僕は水平線を「エントリーのボタン」として使っていました。線に触れた、線を抜けた、だから入る。でも本当は、水平線はエントリーのポイントではなく、観察のポイントなんです。線に来たら、そこで何が起きるのかを見る。抜けたなら、そのあとに戻ってくるのか、戻ってきて止まるのかを見る。この考え方に変えてから、だましに引っかかる回数ははっきり減りました。
だまし対策①:抜けた瞬間ではなく「戻り」を待つ

僕がいちばん大事にしているのがこれです。抜けた瞬間には入らず、一度戻ってくるのを待つ。そして、もともとのレジスタンスだった価格帯が、今度はサポートとして支えになって止まるのを確認してから入ります。
これは、いわゆるレジサポ転換を使った入り方です。抜けたあとに一度戻ってきて止まれば、「この線の上で買いたい人が本当にいる」ことが確認できます。逆に、戻ってきた価格が線の下まで沈んでいくなら、それはだましだったということです。どちらなのかを見てから決められるので、半分運任せのエントリーではなくなります。
「待っているうちに戻らずに行ってしまったら?」と思うかもしれません。実際、そういうこともあります。でも僕は、それは見送ってよかった1回だと考えています。確認できないまま入って、だましで損切りを繰り返すよりも、確認できたときだけ入るほうが、1か月トータルでは必ず残ります。やり方の流れは押し目買い・戻り売りのやり方とほとんど同じです。
だまし対策②:上位足の方向と同じ向きのブレイクだけ狙う
2つ目は、そのブレイクが、上位足の流れと同じ向きかどうかです。4時間足が上昇トレンドのときに、1時間足のレンジを上に抜ける。これは大きな流れに沿ったブレイクなので、続きやすい傾向があります。
反対に、4時間足が下降トレンドなのに、1時間足で小さな高値を上に抜けたからといって買うのは、大きな流れに逆らうことになります。こういうブレイクは、上位足の売りにすぐに押し戻されやすく、だましになりやすいです。僕は基本的に流れからの流れ、つまり上位足の方向に沿ったブレイクだけを狙い、逆向きのブレイクは見送ります。時間足の見方はマルチタイムフレーム分析のやり方でくわしくまとめています。
だまし対策③:そのラインが「何回目」かを見る
3つ目は、抜けようとしているラインの「履歴」です。同じラインでも、はじめて価格が来たのか、それとも何度も試されてきたのかで、意味が変わります。
はじめて来た強いラインは、一度で抜けるよりも、まずははね返されることが多いです。一方で、何度も何度も叩かれているラインは、そのたびに反対側の注文が少しずつ消化されていくので、だんだん弱っていきます。僕は「何度も試されて、戻りがだんだん浅くなってきたライン」のブレイクを、本物になりやすいブレイクとして見ています。逆に、はじめて触れたばかりのラインを勢いよく抜けたときは、だましの可能性も頭に入れておきます。
だまし対策④:ローソク足の「実体」で抜けたかを見る

4つ目は、ローソク足が確定したときに、実体で線を抜けているかです。足が動いている途中で線を超えても、確定したときに線の下に戻っていれば、それは長い上ヒゲが残っただけです。むしろ「上は売りが強くて重い」というサインにもなります。
僕は、ブレイクを判断するときは必ず足の確定を待ちます。1時間足のラインなら、1時間足が確定したときに実体が線の上にあるかどうか。ヒゲの読み方はローソク足の見方でまとめています。ただし、実体で抜けて確定しても、それはまだ「抜けた候補」です。入るのは、対策①のとおり、そのあとの戻りを確認してからです。
時間帯と経済指標にも気をつける
だましは、時間帯によっても起きやすさが変わります。参加者が少なく値動きが軽い時間帯は、少しの注文で線を抜けたり戻ったりしやすく、ブレイクの信頼度が下がります。また、経済指標の発表直後は、一瞬だけ大きく抜けて、すぐに元に戻る動きがよくあります。
僕は、重要な指標の前後に出たブレイクは基本的に信用しません。指標で一瞬抜けた動きに飛び乗るのは、ブレイクアウトというよりギャンブルに近いと考えています。
エントリー前の4つの確認(チェックリスト)

ここまでの話を、エントリー前のチェックリストにまとめると上の4つになります。上位足と同じ向きか、弱ってきたラインか、実体で抜けて確定したか、指標や薄い時間帯ではないか。4つそろったうえで、戻ってきて止まったところで入る。1つでも欠けたら見送る。これが僕のブレイクアウトの基本です。
もう1つ付け加えるなら、入ったすぐ先に、別の強いラインがないかも見ておきます。抜けたすぐ上に、また別の上位足の高値が控えているなら、そこで止められる可能性があります。入った直後に反転しそうな場所がある場面は、そもそも入らないほうが安全です。
だましに遭ったときの損切りの考え方
ここまで気をつけても、だましを完全になくすことはできません。大事なのは、だましに遭ったときの負けを小さく終わらせることです。
戻りを待って入るやり方のいいところは、損切りの位置がはっきりすることです。旧レジスタンスが支えになると思って買ったのですから、その支えのゾーンをはっきり下に割れたら「だましだった」と判断して損切りします。「また戻るかもしれない」と待ってしまうと、だましは大きな負けに変わります。
そしてもう1つ。だましで損切りしたあとに、すぐ逆方向に入り直して取り返そうとするのはおすすめしません。だましのあとの動きは荒くなりやすく、熱くなった頭で入ると負けを重ねやすいからです。負けを取り返したくなる心理についてはリベンジトレードをやめる方法でまとめています。
流れを通しで見てみる(考え方の例)
ここまでの話を、1つの流れとしてつなげてみます。数字は分かりやすくするための例です。
まず4時間足を見ると、高値と安値が切り上がっている上昇トレンドです。今日は「買いで考える日」と決めます。次に1時間足を見ると、しばらく同じ高値で3回ほど止められて、横ばいのレンジになっています。ただ、下からの押しはだんだん浅くなってきていて、上の高値のラインは弱ってきているように見えます。
そこで、1時間足の足が確定したときに、実体がそのラインの上で終わりました。ここで僕は、まだ発注しません。「抜けた候補」が出ただけだからです。その後、価格が一度下がってきて、もともとの高値のゾーンまで戻ってきます。5分足に切り替えて見ていると、ゾーンの中で下ヒゲをつけて止まり、小さく切り返し始めました。ここで初めて買いを入れます。損切りはゾーンのすぐ下、利確の目安は4時間足で見える次の高値の手前です。
もし戻ってきた価格がゾーンの下まで沈んでいったら、それはだましだったということなので、入らずに済みます。入ったあとに割れたなら、決めておいた場所で小さく切るだけです。どちらに転んでも、判断の順番が決まっている。これが、だましに振り回されなくなるいちばんの理由だと僕は思っています。
ブレイクアウトでやりがちな失敗
- 1pipsでも抜けたらすぐ飛び乗る:確定と戻りを待ちます
- 上位足の流れと逆向きのブレイクを狙う:大きな流れに押し戻されやすくなります
- ラインを1本の細い線で見る:少しはみ出すのは普通です。ゾーンで見ます
- 指標発表の直後に飛び乗る:一瞬の抜けは戻されやすい場面です
- 損切りを決めずに入る:支えのゾーンを割れたら切ると、入る前に決めておきます
よくある質問
戻りを待っていると、ほとんどエントリーできません
エントリーの回数は確かに減ります。ただ、そのぶん「確認できた場面」だけに絞れるので、1回あたりの質は上がります。僕は回数が減ることを悪いことだとは思っていません。FXは待つ時間のほうがずっと長い仕事です。
どれくらい抜けたら「抜けた」と判断しますか?
何pipsという決まった数字では判断していません。ラインはゾーンで見ているので、ゾーンの外で、ローソク足の実体が確定したかどうかで判断します。何pipsと決めてしまうと、通貨ペアや時間足によって意味が変わってしまうからです。
レンジ相場のブレイクでも同じやり方でいいですか?
同じです。レンジの上限・下限は多くの人が見ているので、むしろだましが起きやすい場所です。レンジそのものの見極め方はレンジ相場の見極め方と対応でまとめています。
だましを逆に狙うトレードはありですか?
抜けて戻ってきたところを逆方向に狙う考え方もあります。ただ、判断が難しく、始めたばかりのうちはおすすめしません。まずは「だましに引っかからない」ことを優先して、確認してから入る形を身につけるほうが先だと僕は考えています。
まとめ
- ブレイクアウトの瞬間は、本物もだましも見た目が同じ。違いは抜けたあとに分かる
- だましの根っこは「みんなが同じ場所を見ている」こと
- 水平線はエントリーのボタンではなく、観察のポイント
- 抜けた瞬間ではなく、戻ってきて旧ラインで止まったのを確認して入る
- 確認は4つ:上位足と同じ向き/弱ってきたライン/実体で確定/指標・薄い時間帯を避ける
- だましに遭ったら、支えのゾーンを割れたところで小さく切る。取り返そうとしない
まずは次のブレイクで、抜けた瞬間には発注しないことだけを試してみてください。そのあと戻ってきて止まるのか、それともそのまま沈むのか。それを1回見るだけでも、ブレイクの見え方が変わるはずです。
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この記事は、マルチタイムフレーム分析のやり方を土台にした「エントリー」パートの1本です。あわせてレンジ相場の見極め方と対応、レジサポ転換はなぜ起こる?、FXの水平線の引き方、全体の流れはFX初心者ロードマップもどうぞ。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。


