ダウ理論の使い方|11年連続プラスの僕が「高値と安値」だけでトレンドを見る理由

チャート分析・手法

「トレンドが出た、と思ってエントリーすると、なぜか自分が入った瞬間に逆行する」。デイトレを始めて半年〜1年くらいの方から、本当によくいただく相談です。

この悩みのほとんどは、トレンドを「なんとなくの雰囲気」で見ていることが原因です。ここを直す道具がダウ理論です。名前は難しそうですが、毎日使うのは1つだけ。「高値と安値が、切り上がっているか、切り下がっているか」を見る。それだけです。

僕は12年FXをやってきて、11年連続で年間プラスを続けていますが、相場の方向を見るときは、いまでもこの高値・安値の並びから確認します。この記事では、その使い方を、押し安値・戻り高値の取り方から、転換の見極め、よくある失敗まで、実際のトレード例と図解で説明します。この内容はFX初心者ロードマップのステップ4、マルチタイムフレーム分析の土台になる部分です。

ダウ理論とは?6つの原則と、毎日使う1つ

ダウ理論は、19世紀の相場記者チャールズ・ダウが提唱した相場の考え方で、6つの基本原則があります。ざっと挙げると次のとおりです。

  1. 平均株価(相場)はすべての事象を織り込む
  2. トレンドには「長期・中期・短期」の3つの波がある
  3. 長期トレンドは「先行期・追随期・利食い期」の3段階で進む
  4. 複数の平均は互いに確認しあう必要がある
  5. トレンドは出来高でも確認される
  6. トレンドは明確な転換のサインが出るまで継続する

このうち、FXのデイトレで毎日使うのは「2」と「6」だけです。つまり「今どの向きの波なのか」と「その波はまだ続いているのか、それとも転換したのか」。これを高値と安値の並びで判断します。残りの原則は、頭の片隅に置いておく程度で十分です。

上昇・下降・レンジの見分け方

トレンドは、高値(山)と安値(谷)の並び方で決まります。

上昇・下降・レンジの3つの相場状態を、高値と安値の並びで見分ける図
見るのは「山の高さ」と「谷の高さ」だけ。3つのどれに当てはまるかを判断します。

上昇トレンド

高値(山)が前の高値より高く、安値(谷)も前の安値より高い。両方が階段状に切り上がっている状態です。この間は、押し目を買っていく方向で考えます。

下降トレンド

高値が前より低く、安値も前より低い。両方が切り下がっている状態です。この間は、戻りを売っていく方向で考えます。

レンジ(横ばい)

高値も安値もほぼ同じ高さで、方向感がない状態です。ダウ理論では「レンジは様子見」が基本です。無理にトレードしません。相場の7割はレンジ、とよく言われます。「今はレンジだから休む」と判断できることも、立派なスキルです。

「押し安値」と「戻り高値」=どの高値・安値を基準にするか

ここが、ダウ理論でいちばん大事なのに、いちばん説明されない部分です。

チャートには大小さまざまな山と谷があります。全部を数えると、方向が分からなくなります。基準にするのは、「直近で、目立つ反発を作った、大きめの安値・高値」だけです。これに名前がついています。

  • 押し安値…上昇トレンド中に、最後に「一度下げてから、また高値を更新した」ときの谷。ここを割ったら上昇トレンドの終わりを疑います
  • 戻り高値…下降トレンド中に、最後に「一度上げてから、また安値を更新した」ときの山。ここを超えたら下降トレンドの終わりを疑います
上昇トレンドで基準にする「押し安値」=直近で下げてから高値を更新したときの谷を示す図
「押し安値」は1つに絞ります。高値を更新するたびに、押し安値も1つ上に更新されます。

使い方はこうです。上昇トレンドなら、「押し安値を割らない限り、上昇は継続」と考えます。価格が押し安値の上で動いている間は、押し目を買っていい。押し安値を明確に割ったら、いったん手を引きます。

トレンド転換の2段階

トレンドの転換は、1回のサインでは決めつけません。2段階で確認します。

トレンド転換の2段階:押し安値を実体で明確に割り、次の戻りで高値も切り下がると転換確定になることを示す図
①だけでは「深い押し目」の可能性も残ります。②の「戻り高値の切り下げ」まで見て、はじめて売り目線に切り替えます。

①押し安値を明確に割る。これが最初のサインです。ただし、ヒゲで少し割っただけ、実体でギリギリ割っただけ、では判断しません。ローソク足の実体でしっかり抜けたかを見ます。

②次の戻りで、高値も切り下がる。①のあと、価格は一度戻ります。その戻りが前の高値を超えられず、切り下がったら、これで「高値も安値も切り下がった」=下降トレンドの条件がそろいます。ここで売り目線に切り替えます。

①だけで飛びつくと、ただの深い押し目だったときに高値づかみの売りになります。②まで待つ。この一手間で、だましがかなり減ります。

時間足で方向が食い違うときは?

「4時間足を見ると上昇トレンド。でも1時間足を見ると下降トレンド」。これはよくあります。矛盾ではありません。1時間足の下降は、4時間足の押し目を作っている最中だからです。

このときの考え方はシンプルです。

  • 方向は上位足(4時間足)を優先する。大きい波のほうが強いからです
  • 下位足(1時間足)の逆方向の動きは「押し目・戻りの進行中」と読む。1時間足が下げ止まって、安値を切り上げ始めたら、それが4時間足の押し目の完成です
  • 4時間足と1時間足がそろって同じ方向のときだけ、5分足で入る。逆方向のときは見送る

この時間軸の組み立て方はマルチタイムフレーム分析のやり方で詳しく図解しています。

なぜ「トレンドが出てから」入ると負けるのか

ダウ理論でトレンドが分かるようになると、次にやりがちなのが「上昇トレンドだ、買おう」と、価格が大きく伸びたところで飛び乗ることです。これはたいてい逆行します。

理由はシンプルで、あなたが「トレンドだ」と気づいた頃には、先に買っていたトレーダーが利益確定を考え始めているからです。伸びきったところで買うと、その利確の売りにぶつかります。相場は大衆心理でできています。「ここで買いたい」と自分が感じるということは、同じことを感じて先に買った人が、そろそろ利確する頃だ、ということでもあります。

トレンドが伸びきったところで飛び乗ると利確売りにぶつかる、正しくは押し目を待つことを示す図
入るのは「伸びたところ」ではなく「上昇トレンド中の押し目(戻り)」。安値の切り上げを確認してから狙います。

正しいのは、トレンドの方向を確認したうえで、押し目(上昇なら一度下げて戻るところ)・戻り(下降なら一度上げて落ちるところ)を待つことです。あせって伸びを追いかけない。これだけで負けはかなり減ります。

ダウ理論を実戦で使う3ステップ

  1. 上位足でトレンドの向きを決める。4時間足の高値・安値を見て、上昇・下降・レンジのどれかを判断します。同時に「押し安値(または戻り高値)」がどこかを確認します
  2. その方向の押し目・戻りを待つ。上昇なら、1時間足で一度下げて、安値が切り上がって反発するのを待ちます。移動平均線や水平線と重なっていれば、より狙いやすい場所です
  3. 直近の高値・安値を基準に管理する。切り上げ(切り下げ)が続く限り継続。押し安値(戻り高値)を明確に割ったら、いったん様子見に切り替えます

ダウ理論のよくある失敗3つ

  1. ヒゲ1本だけで高値・安値を決める。一瞬だけ伸びたヒゲを「高値更新」と数えてしまうと、方向がぶれます。実体ベース、またはある程度のゾーンで見ます
  2. 小さい波まで数えて、方向を見失う。5分足の細かいジグザグを全部数えると、上昇トレンドの中でも「今は下降」に見えてしまいます。判断に使うのは、誰が見ても分かる目立つ山・谷だけです
  3. 1回の押し安値割れで飛びつく。前述の「2段階」を守らず、①だけで売ってしまう。②の戻り高値の切り下げまで待てば、だましを大きく減らせます

トレンドラインとの関係(補足)

ダウ理論が「点(高値・安値)」でトレンドを見るのに対して、トレンドラインは「線」で見ます。上昇トレンドなら、切り上がる安値どうしを結んだ線がサポートになります。

2つはセットで使うと分かりやすくなります。ダウ理論で方向を判断し、トレンドラインで「押し目がどこまで来そうか」の目安を持つ。トレンドラインを実体で明確に割ったときは、押し安値割れと同じく、トレンドが弱まったサインとして見ます。引き方のコツはトレンドラインの引き方にまとめています。

実例:レンジ抜け+押し目でトレンドに乗ったトレード

下は、実際に僕が動画で解説したドル円のトレードを模式図にしたものです。

まず1時間足で、はっきりした持ち合い(レンジ)ができていました。高値も安値もほぼ同じ高さで、上下のラインが何度も意識されている状態です。ここでは何もしません。「レンジは様子見」です。

その後、価格がレンジの上限を実体で上抜けしました。ここで初めて「上方向の可能性」が出ます。ただし、抜けた直後に飛び乗るとだましのリスクがあるので、一度戻ってくる(押し目を作る)のを待ちました。戻りが浅く、安値を切り上げて反発したのを1時間足で確認し、5分足に切り替え。小さなダブルボトムが出たところでロング。

結果は約35pipsでした。大事なのは値幅より、「レンジ → 抜け → 押し目、という順番を待てた」という点です。伸びを追いかけず、構造ができるのを待つ。同じ形が来れば、また同じように狙えます。

よくある質問

ダウ理論だけで勝てますか?

ダウ理論は「方向を判断する道具」なので、それ単体で売買のタイミングまでは決まりません。方向をダウ理論で決めて、入る場所は水平線移動平均線、チャートパターンと組み合わせます。ただ、方向の判断がぶれなくなるだけで、勝率はかなり安定します。

どの時間軸で高値・安値を見ればいいですか?

デイトレなら、まず4時間足で大きな方向を、次に1時間足で押し目・戻りの位置を見ます。5分足は入るタイミングの確認だけに使います。詳しくはマルチタイムフレーム分析のやり方をどうぞ。

小さな高値・安値まで全部数えるべきですか?

いいえ。ノイズ(方向感を変えない小さな揺れ)は無視して、誰が見ても「山」「谷」と分かる、目立つ高値・安値だけで判断します。細かく見すぎると、かえって方向が分からなくなります。

「押し安値」はいつ更新されますか?

上昇トレンドで、価格が前の高値を明確に更新したとき、その手前の押し目の谷が新しい押し安値になります。高値を更新するたびに、守るべきラインが1つ上がっていくイメージです。

レンジと下降トレンドの見分けがつきません。

「安値が切り下がっているか」で見ます。安値が同じ高さで支えられていればレンジ、安値がはっきり切り下がっていけば下降トレンドです。迷うときは、それはまだレンジの範囲内、と考えて手を出さないのが安全です。

まとめ

  • ダウ理論で毎日使うのは「トレンドの定義」だけ=高値と安値の並びを見る
  • 高値も安値も切り上がり=上昇/切り下がり=下降/同じ高さ=レンジ(様子見)
  • 基準にするのは「押し安値・戻り高値」=直近の目立つ反発を作った谷・山1つだけ
  • 転換は2段階=①押し安値を明確に割る ②次の戻りで高値も切り下がる
  • 時間足が食い違うときは上位足を優先。下位足の逆行は「押し目・戻りの進行中」
  • トレンドが伸びきったところで飛び乗ると、先行組の利確にぶつかって逆行する
  • 失敗の定番=ヒゲで判断/小波を数えすぎ/1回のサインで飛びつく

「トレンドが出た」と感じたときは、たいてい少し遅れています。あせって伸びを追わず、高値と安値の並びを確認して、押し目を待つ。この順番がつかめてくると、エントリーの質がぐっと上がります。


この記事は、全くのFX初心者が毎月安定して稼げるプロトレーダーになるためのロードマップのステップ4にあたる内容です。あわせてマルチタイムフレーム分析のやり方移動平均線の使い方水平線の引き方初心者がFXで勝てない5つの理由もどうぞ。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。

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