エントリーはうまくいって、含み益も出ていた。でも「もう少し伸びるかも」と待っているうちに戻されて、結局ほとんど利益が残らなかった。あるいは、怖くなってすぐに決済したら、そこから大きく伸びていった。FXをしていると、決済についてのこういう後悔は本当に多いと思います。
こうした迷いを減らす方法として、よく紹介されるのが分割決済です。ポジションを何回かに分けて決済することで、「利益を確保する」と「伸ばす」を両立させようという考え方です。今日は、分割決済のやり方と、それを含めた建玉管理の基本、そして僕がそれ以上に大事にしている「決済の判断」についてまとめます。
- 分割決済と建玉管理とは何か
- 分割決済のメリットと、見落としやすいデメリット
- 分割決済の基本的なやり方(2回に分ける方法)
- 分割よりも大事な「伸びないときに早めに降りる」判断
- 建玉管理でやってはいけないこと
分割決済・建玉管理とは?
建玉(たてぎょく)とは、いま持っているポジションのことです。建玉管理というのは、そのポジションを「どれくらいの量で持ち、どこで、どれくらいずつ決済するか」を管理することをいいます。
分割決済は、建玉管理のやり方の1つです。たとえば2万通貨で入ったときに、まず1万通貨を最初の目標で決済して利益を確定し、残りの1万通貨は次の目標まで伸ばす、というように、決済を何回かに分けます。反対に、全部のポジションを1回で決済することを一括決済といいます。
分割決済には決まった正解があるわけではありません。何回に分けるのか、どこで分けるのかは人によって違います。大切なのは、分割決済そのものが勝ちを生むわけではないということです。これはあとでくわしく説明します。
分割決済のメリット:迷いが半分になる

分割決済のいちばんのメリットは、決済のときの迷いが小さくなることです。一括決済だと、「いま決済するか、もっと待つか」の二択になります。どちらを選んでも、外れたときの後悔が大きくなりがちです。
分割決済なら、最初の目標で半分を利確しておけば、残りが戻されても利益の一部は手元に残ります。逆に、そのまま大きく伸びたら、残りの半分でその伸びを取ることができます。どちらに転んでも「まったく取れなかった」にはなりにくい。この安心感があると、残りのポジションを落ち着いて見ていられるようになります。
分割決済のデメリット:それだけでは期待値は上がらない
一方で、分割決済には見落とされやすいデメリットがあります。それは、分割したからといって、トレードの期待値そのものは上がらないということです。
たとえば、半分を早めに利確すると、そのぶん「伸びたときに取れる利益」は小さくなります。損切りになったときの損失はそのままなのに、利益の平均だけが小さくなると、リスクリワードが悪くなってしまいます。気持ちは楽になっても、トータルの成績はむしろ下がる、ということも起こりえます。リスクリワードの考え方はリスクリワード比の考え方でまとめています。
もう1つは、判断の回数が増えることです。1回目をどこで、2回目をどこで、残りの損切りはどうするか。決めることが増えると、そのぶん迷いや感情が入りこむすき間も増えます。分割決済は、決済のルールがはっきりしている人が使うと役に立ちますが、ルールがあいまいなまま使うと、かえって判断がぶれてしまいます。
分割決済の基本的なやり方:まずは「2回」に分ける

分割決済を試してみるなら、まずは2回に分けるところから始めるのがおすすめです。3回、4回と細かく分けるほど管理が難しくなるからです。手順は次のとおりです。
- ロットを2つに分けられる量で入る:たとえば2万通貨で入り、1万通貨ずつ決済できるようにしておきます
- 1回目の目標を決める:直近の高値・安値など、最初に値動きが止まりやすい場所に置きます
- 1回目で半分を利確したら、残りの損切りを建値付近まで動かす:これで残りのポジションが負けにならない形になります
- 2回目の目標を決める:上位足のラインなど、トレンドが一段落しそうな場所に置きます
ポイントは、この3つの場所を、エントリーする前に決めておくことです。入ったあとに考えようとすると、含み益や含み損を見ながら判断することになり、どうしても気持ちが入ってしまいます。損切りの場所を入る前に決めるのと同じ考え方です。1回あたりのロットの決め方はFXのロットの決め方を参考にしてください。
分割よりも大事なこと:伸びないときに「早めに降りる」判断
ここからが、僕がいちばんお伝えしたいことです。分割するかどうかよりも、決済で本当に差がつくのは、「目標まで待つか、それとも早めに降りるか」を、相場の状況から判断できるかどうかだと僕は考えています。
僕がデイトレードで目指す利益は、1回あたり15〜20pipsくらいです。入る前から「6pipsで利確しよう」と考えて入ることはありません。それでは浅すぎて、損切りとの割が合わないからです。でも、実際のトレードでは、目標まで伸びずに決済することもあります。それは、入ったあとの値動きに勢いがないときです。
YouTubeの動画でも、実際のトレードでこの判断をしています。パターンは良い形だったので売りで入ったのですが、相場全体の値動きが小さく、ローソク足は長く見えても実際には数pipsしか動いていない。前の動きに比べて伸びが弱く、近くには意識されやすいキリの良い価格もありました。そこで僕は、目標の手前でしたが、6〜7pipsのところで決済しました。
本来の目標から見れば、小さな利益です。でも、こういう伸びない相場は、戻るときがとても速いのです。何本もかけて下げてきたのに、1本の陽線で全部戻される、ということがよくあります。待っていたら建値まで戻され、さらにマイナスになって損切り、ということも十分ありえました。停滞したときに小さくても利益を確保するのは、この世界で長く生き残るための知恵だと思っています。
早めに降りるかどうかを判断する3つのポイント

とはいえ、何でもかんでも早めに降りていたら、利益はいつまでも小さいままです。僕が「早めに降りる」と判断するのは、次のようなときです。
- 入ったあと、だらだらと停滞している:本当に良い場面なら、入ってから短い時間でスッと伸びていくことが多いです。伸びずに時間だけが過ぎていくのは、勢いがないサインです
- 値動きそのものが小さい:ローソク足が長く見えても、実際の値幅が数pipsしかないときは、相場全体に勢いがありません。こういうときは戻りも速くなります
- すぐ先に意識されやすい価格がある:キリの良い価格や、上位足のラインが近くにあると、そこで跳ね返されやすくなります
大事なのは、「怖くなったから決済する」のではなく、「伸びない理由がチャートに出ているから決済する」ということです。理由を言葉にできる早めの決済は、再現できる判断です。理由のない早めの決済は、ただのチキン利食いになってしまいます。
そして、そもそも値動きが小さい日は、入らないのがいちばんです。僕も、ボラティリティ(値動きの大きさ)が弱い相場では、なるべく手を出さないようにしています。入ってから短い時間で10〜15pipsくらいスッと動きそうな状況かどうかを、エントリー前に確認しておくと、決済で悩む場面そのものが減っていきます。
数字で比べる:一括決済と分割決済、どちらが得か
分割決済の向き・不向きは、数字で比べてみると分かりやすくなります。2万通貨で買いを入れて、損切りまで10pips、1回目の目標が10pips、2回目の目標が20pips先にある場面を考えてみます。
- 一括決済で20pipsまで待った場合:目標に届けば+20pips×2万通貨。ただ、10pipsまで伸びてから戻されて損切りになれば、−10pips×2万通貨です
- 分割決済にした場合:10pipsで1万通貨を利確し、残りの損切りを建値に上げます。20pipsまで届けば1万通貨ずつ+10pipsと+20pipsで、合計+30pips分。途中で戻されても、+10pips分は残ります
こうして並べると、分割決済は「10pipsまでは伸びたのに、そこから戻されやすい相場」で強く、「一度も伸びずにすぐ損切りになる相場」では一括決済と同じだと分かります。逆に、毎回きれいに20pipsまで伸びる相場なら、一括決済のほうが利益は大きくなります。
つまり、分割決済が向いているかどうかは、自分のトレードが「途中まで伸びてから戻される」ことが多いかどうかで決まります。これは感覚ではなく、記録を見れば分かります。20回ぶんのトレードで、最大でどこまで含み益が伸びたかをメモしておくと、自分に合う決済の形が見えてきます。
建玉管理でやってはいけない3つのこと
- 含み損のポジションに買い増す(ナンピン):逆行しているポジションに追加すると、損失がふくらむスピードが一気に上がります。建玉管理とは反対の行動です
- 決済の場所を、入ったあとに変える:「もう少し伸びそう」で目標を遠くに動かし、「戻ってきそう」で損切りを遠くに動かす。どちらも気持ちで判断を変えている状態です
- 金額で決済を決める:「あと○円になったら決済」と金額で考えると、チャートの状況と関係のない場所で判断してしまいます。決済はpipsとチャートの場所で考えます
とくに2つ目は、多くの人がやってしまいがちです。損切りを遠くに動かしてしまうクセについては損切りができない心理と対策でくわしく書いています。
初心者は、分割決済から始めなくても大丈夫
ここまで読んで、「分割決済をやらないといけない」と感じた方もいるかもしれません。でも、初心者のうちは無理に分割決済をしなくても大丈夫です。
最初に身につけたいのは、「入る前に目標と損切りを決める」「入ったあとの勢いを見て、待つか降りるかを判断する」という2つです。この2つができるようになれば、一括決済でも十分に利益は残せます。分割決済は、その判断が安定してきてから、迷いをさらに減らすための道具として取り入れれば十分です。決済の判断がそろってきたかどうかは、トレード記録を見返すとよく分かります。
よくある質問
分割決済は、何対何で分けるのがいいですか?
最初は半分ずつ(1対1)がいちばん分かりやすいです。比率を細かく変えると、どの比率が良かったのかを振り返るのが難しくなります。まずは半分ずつで20回ほど試して、記録を見ながら考えてみてください。
1回目の利確後、残りの損切りは必ず建値に動かすべきですか?
基本はおすすめです。残りが負けにならない形にしておくと、落ち着いて伸ばせるからです。ただし、建値ぴったりだと、ちょっとした戻りで決済されてしまうこともあります。直近の押し安値・戻り高値など、チャートの意味のある場所を基準にするのもよい方法です。
早めに決済したあと、大きく伸びたら悔しいです。
その気持ちはよく分かります。ただ、伸びない理由がチャートに出ていて決済したのなら、それは正しい判断です。その1回だけを見ると損をしたように感じても、同じ判断を20回くり返したときに、戻されて損切りになる回数が減っていれば、トータルではプラスに働いています。
トレール注文(損切りを自動で追いかける注文)は使ったほうがいいですか?
トレンドが大きく伸びそうな場面では便利です。ただ、デイトレードの短い時間足では、ちょっとした押しで決済されてしまうことも多いです。まずは手動で「待つか降りるか」を判断する練習をして、そのうえで補助として使うのがよいと思います。
まとめ
- 分割決済は、決済を何回かに分けて「利確」と「伸ばす」を両立させる方法
- 迷いは減るが、それだけで期待値は上がらない。リスクリワードが悪くならないように注意
- やるなら2回に分けて、目標・残りの損切り・2回目の目標を入る前に決めておく
- 分割よりも大事なのは、伸びない理由がチャートに出たときに早めに降りる判断
- ナンピン・決済場所の後出し変更・金額での決済はしない
まずは直近のトレードを3つ振り返って、「決済した理由」を一文で書いてみてください。「怖かったから」ではなく、チャートの理由で書けていれば、決済の判断はもう育ちはじめています。
この記事は、FXデイトレード手法の基礎の「損切りと利確」をくわしくしたパートです。あわせてFXのトレンドの見分け方、押し目買い・戻り売りのやり方、全体の流れはFX初心者ロードマップもどうぞ。
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