FXのトレンドの見分け方|「上がっているから買い」で負ける人が見ていない、トレンドの強さと寿命

チャート分析・手法

チャートを開くと、きれいに右肩上がりになっている。「これは上昇トレンドだ」と思って買ったのに、そこから下がってしまう。FXを始めたばかりのころ、僕はこれを何度もくり返しました。トレンドに乗れば勝てると聞いていたのに、乗ったとたんに終わってしまうのです。

いま振り返ると、当時の僕は「上がっているかどうか」しか見ていませんでした。本当に見るべきだったのは、そのトレンドがどの時間足のものなのか、どれくらい強いのか、そして、あとどれくらい続きそうなのか、ということです。今日は、トレンドの見分け方を、この「強さ」と「寿命」まで含めてまとめます。

  • トレンドの定義と、なぜ「上がっている」だけでは足りないのか
  • トレンドを見分ける4つの視点(どの足・強さ・寿命・現在地)
  • トレンドが弱ってきたサインと、転換の確認のしかた
  • トレンドの見分け方でよくある失敗

FXのトレンドとは?高値と安値が、同じ向きに更新されていくこと

まず定義を確認しておきます。FXでいう上昇トレンドとは、高値と安値が、どちらも切り上がっていく状態のことです。前の高値を超えて、下がっても前の安値までは下がらない。この形がくり返されているあいだが上昇トレンドです。下降トレンドはその逆で、高値と安値がどちらも切り下がっていきます。どちらにも当てはまらず、同じ幅を行ったり来たりしている状態がレンジです。

この考え方のもとになっているのがダウ理論です。高値・安値のどこを基準にするのか、といったくわしい話はダウ理論の使い方でまとめているので、ここでは「高値と安値が同じ向きに更新されていく」という定義だけ押さえておいてください。

大事なのはここからです。定義どおりに「上昇トレンドだ」と判断できても、それだけでは勝てません。僕がYouTubeの動画でも話したのですが、トレンドに乗れば勝てる、というのは半分まちがいです。トレンドは永遠には続きません。大切なのは、いまのトレンドが続く可能性と、終わる可能性のバランスを見ることです。

「上がっているから買い」で負けてしまう理由

同じ「上昇トレンド」でも、買う場所で結果が変わるの図。トレンドの前半・押し目で買う、伸びきったあとに飛び乗る、寿命がきて下落、「上がっている」のは同じでも、トレンドのどこにいるかで勝ちやすさはまったく違います
緑の場所と赤の場所は、どちらも「上昇トレンドの中」です。でも結果は大きく変わります。

「上がっているから買う」で負けてしまう人の多くは、トレンドが目に見えてはっきりしてから入っています。誰が見ても上昇だと分かるくらい上がったころには、そのトレンドはもう後半に入っていることが多いのです。そこから買うと、利益を取る前にトレンドが終わってしまいます。

もう1つは、見ている時間足がずれていることです。5分足では上がっていても、1時間足で見ると下降トレンドの中の戻りにすぎない、ということはよくあります。この場合、5分足の上昇はすぐに終わります。どちらのトレンドに合わせるのかを決めないまま入ると、「トレンドに乗ったつもりなのに負けた」という結果になりやすくなります。

トレンドを見分ける4つの視点

トレンドを見分ける4つの視点の図。1 どの足のトレンドか、5分足と4時間足では、、トレンドの向きが違うことがある、2 強さ、押し(戻り)が浅いほど強い。、波の伸びる幅も見る、3 寿命、高値の更新幅が小さくなる、、いつもの形とズレてきたら弱り、4 現在地、大きな流れの中で、、いまがどのあたりか、「上か下か」を決めるのは1だけ。2〜4で「いま入ってよいか」を判断します
トレンドは「向き」だけでなく、「強さ・寿命・現在地」まで見て、はじめて使えるようになります。

僕はトレンドを見るとき、次の4つの視点で確認しています。

  • 視点①:どの時間足のトレンドか
  • 視点②:トレンドの強さ
  • 視点③:トレンドの寿命
  • 視点④:大きな流れの中での現在地

1つ目で「上か下か」の向きを決め、2つ目から4つ目で「いま、そのトレンドに乗ってよいか」を判断する、という使い分けです。順番に説明していきます。

視点①:どの時間足のトレンドかを先に決める

トレンドは、時間足ごとに別々に存在しています。4時間足は上昇、1時間足はレンジ、5分足は下降、ということは珍しくありません。だから「いまは上昇トレンドですか?」と聞かれたら、まず「どの足で?」と考える必要があります。

僕のデイトレードでは、方向は4時間足と1時間足で決めて、5分足はタイミングを取るためだけに使います。5分足のトレンドを基準にしてしまうと、少しの値動きで判断がころころ変わってしまうからです。上位足が上昇なら、5分足で下がってきた場面は「下降トレンドの始まり」ではなく「押し目の候補」として見ます。時間足の組み合わせ方はマルチタイムフレーム分析のやり方でくわしく書いています。

視点②:トレンドの強さは「押しの深さ」で分かる

同じ上昇トレンドでも、強いトレンドと弱いトレンドがあります。強さを見るいちばん分かりやすい目安は、押し(下降トレンドなら戻り)の深さです。

直前の上昇の幅に対して、どれくらい下げてきたかを見ます。上昇幅の3分の1くらいで止まって再び上がるなら、買いたい人が多い強いトレンドです。半分くらいまで下げるなら、ふつうの強さ。上昇幅の6割以上まで下げてくるなら、トレンドの勢いはかなり落ちていると考えます。フィボナッチの38.2%・50%・61.8%という数字は、この目安を測るための道具として使うと分かりやすいです。

もう1つの目安は、波の伸びる幅です。高値を更新するたびに、前の波と同じくらい、あるいはそれ以上に伸びているなら、トレンドはまだ元気です。逆に、更新はしているのに伸びる幅がだんだん小さくなっているなら、力が弱まってきているサインです。

視点③:トレンドには「寿命」がある

トレンドが終わりに近づくときの3つのサインの図。① 高値の更新幅が小さい、② 高値を更新できない、③ 押し安値を割る、元気なうちは、押しが浅く、伸びが大きい、③で「転換の可能性」。でも、すぐに逆方向へ入らず、戻りの形を確認してからにします
弱りのサインは、いきなりではなく①→②→③の順に出てくることが多いです。

僕がいちばん大事にしているのが、この「寿命」の考え方です。トレンドは永遠には続きません。だから僕は、いまのトレンドがどこまで続きそうか、そしてどんな形で終わりそうかを、ポジションを持つ前も持っている間も考えています。

4時間足や1時間足くらいの、いわゆる中期のトレンドが転換するポイントを見極めること。12年トレードしてきて、ここを見る力がいちばん利益に直結していると感じています。トレンドの「真ん中」を取るよりも、「終わりそうなところで無理をしない」ほうが、トータルの成績に効いてくるからです。

トレンドが終わりに近づくと、たいてい次の順番でサインが出てきます。

  1. 高値の更新幅が小さくなる:更新はしているけれど、伸びが明らかに弱くなる
  2. 高値を更新できなくなる:前の高値の手前で押し戻される。それまでの形とズレが出てくる
  3. 押し安値を割る:上昇の起点になった安値を下に抜ける。ここで転換の可能性が高くなる

1つ目と2つ目の段階では、まだ上昇トレンドは続いています。でも、ここから新しく買いを入れるのは慎重になるべき場面です。持っている買いポジションがあるなら、利益確定を考えはじめるタイミングでもあります。

転換のサインが出ても、すぐに逆方向に入らない

ここで多くの人がやってしまうのが、押し安値を割った瞬間に「トレンド転換だ」と売りを入れてしまうことです。気持ちはよく分かりますが、僕はこの時点ではまだ入りません。

理由は、安値を割ったように見えて、すぐに戻ってくる「だまし」がとても多いからです。それまで大きく上昇していた相場ほど、買いたい人がまだたくさん残っています。一度下に抜けても、もう一度上がってくることは珍しくありません。

僕は、安値を割ったあとに一度戻して、そこで上がりきれずに再び下げはじめる形を確認してから売りを考えます。少し遅れるように感じるかもしれませんが、この確認を入れるだけで、だましで損切りになる回数がかなり減ります。一方で、それまでの買いポジションを持っている場合は、押し安値を割った時点で決済を考えるのが基本です。新しく入るのは慎重に、持っているポジションを降りるのは早めに。これが転換点での僕の考え方です。ブレイクのだましについてはブレイクアウトのだまし対策でもまとめています。

視点④:いま、大きな流れの「どこ」にいるのか

4つ目は、大きな流れの中での現在地です。昔の動画で「環境認識は超簡単」という話をしたことがあるのですが、そのときにお伝えしたかったのもこの点でした。

多くの人は「大きく上がっているから買い」「大きく下がっているから売り」という、おおまかな見方で環境認識を終わらせてしまいます。でも本当に見るべきなのは、その大きな上昇に対して、いまがどういう場所なのかです。上昇の途中の押し目なのか、高値を更新できなくなって迷っている場所なのか、それとも上と下のラインにはさまれた、どちらに抜けるか分からない場所なのか。

とくに、上と下のラインにはさまれた場所は、どちらに動いてもおかしくありません。こういう分かりにくい場所では入らず、どちらかに抜けてきて、分かりやすくなってから入ります。分かりにくい場所で入らない、ということ自体が、トレンドの見分け方の一部だと僕は考えています。見る順番は相場環境認識のやり方で手順にしています。

トレンドの見分け方を実際のチャートで使う手順

チャートを開いたら、この順番でトレンドを確認の図。STEP1、4時間足で、上・下・どちらでもない を決める、STEP2、押しの深さと伸びる幅で、強さを見る、STEP3、弱りのサイン(更新幅・更新失敗)が出ていないか、STEP4、1時間足で、いまが押し目か、迷いの場所かを見る、4つともOKのときだけ、5分足でタイミングを探す
途中で1つでも引っかかったら、その日はそのトレンドに乗らない、という判断も立派な答えです。

ここまでの4つの視点を、実際にチャートを開いたときの手順にすると、次のようになります。

  1. 4時間足で向きを決める:高値と安値の切り上げ・切り下げを見て、上・下・どちらでもない、のどれかに決めます
  2. 強さを見る:直近の押し(戻り)が浅いか深いか、波がしっかり伸びているかを確認します
  3. 寿命を見る:高値の更新幅が小さくなっていないか、更新できずに押し戻されていないかを確認します
  4. 現在地を見る:1時間足で、いまが押し目の候補なのか、ラインにはさまれた迷いの場所なのかを見ます

4つともそろったときだけ、5分足に切り替えて入るタイミングを探します。どれか1つでも引っかかったら、その日は無理に乗らない。僕は朝にこの確認をしておいて、あとは1時間に1回くらいチャートを見て、狙っている場所まで来ているかどうかだけをチェックしています。こうすると、チャートにずっと張りついている必要がなくなります。

トレンドの見分け方でよくある3つの失敗

  • 5分足だけでトレンドを判断する:少しの動きで判断が変わり、上位足の流れと逆に入ってしまいます
  • トレンドが「はっきりしてから」入る:誰が見ても分かるころには後半のことが多く、高値づかみになりがちです
  • 転換のサインで、すぐ逆に入る:だましで戻ってくることが多いので、戻りの形を確認してからにします

3つとも、「向き」だけを見て「強さ・寿命・現在地」を見ていないことから起きる失敗です。トレンドのどこで入るかは、押し目買い・戻り売りのやり方もあわせて読んでみてください。また、トレンドとレンジの区別がつきにくいときはレンジ相場の見極め方が参考になると思います。

よくある質問

トレンドの判断に、移動平均線は使わないのですか?

使っても大丈夫です。移動平均線が上向きで、ローソク足がその上にあるなら、上昇トレンドの目安になります。ただ、移動平均線は値動きを後から追いかける線なので、転換には少し遅れて反応します。僕は高値と安値の更新を主に見て、移動平均線は補助として使っています。使い方は移動平均線の使い方でまとめています。

トレンドがどれくらい続くか、事前に分かるものですか?

正確には分かりません。ただ、押しが深くなってきた、伸びる幅が小さくなってきた、といった弱りのサインは、チャートにちゃんと出てきます。「あとどれくらい」を当てるのではなく、「そろそろ弱ってきたかどうか」に気づけるようにしておくことが大切です。

トレンドがはっきりしない日は、どうすればいいですか?

無理にトレードしなくて大丈夫です。4時間足で「どちらでもない」と判断した日は、僕も積極的には入りません。トレンドがはっきりしない日に休めることも、トレンドを見分ける力の一部だと思っています。

強いトレンドなら、高値でも買っていいですか?

強いトレンドほど、押しが浅く、すぐに高値を更新します。そのため、押し目を待っていると乗り遅れることもあります。それでも僕は、少しでも押して、そこから反発を確認してから入るようにしています。乗り遅れた1回より、高値づかみでの大きな負けのほうが、成績への影響がずっと大きいからです。

まとめ

  • トレンドの定義は「高値と安値が同じ向きに更新されていくこと」
  • ただし「上がっている」だけで買うと、トレンドの後半で入って負けやすい
  • 見るべきは①どの足か ②強さ(押しの深さ・伸びる幅)③寿命(弱りのサイン)④現在地
  • 転換のサインが出ても、すぐに逆方向には入らない。持っているポジションは早めに降りる
  • 分かりにくい場所で入らないことも、トレンドの見分け方の一部

まずは、いま見ている通貨ペアの4時間足を開いて、直近の押しが上昇幅のどれくらいだったかを確かめてみてください。「上がっている」の先にある、トレンドの強さが見えてくると思います。


この記事は、FXデイトレード手法の基礎の「方向を決める」をくわしくしたパートです。トレンドの基本の形はダウ理論の使い方、トレンドに乗ったあとの決済はFXの分割決済のやり方、全体の流れはFX初心者ロードマップもどうぞ。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。

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