「勝率は悪くない。むしろ勝ちのほうが多い。なのに、口座がなぜか増えない」「コツコツ積み上げたのに、1回の大負けで全部持っていかれる」。いわゆるコツコツドカンです。
僕はFXを12年、11年連続で年間プラスで来ていますが、勝てるようになったあとも、しばらくこれに苦しみました。100万、200万と増やしては、なぜかそこから減らして、また増やしては減らす。長い期間ではありませんが、その時期がありました。
この記事では、コツコツドカンがなぜ起きるのか、そして僕がどうやって抜け出したのかをお話しします。結論から言うと、直すのは手法ではありません。「1回の損失額を固定する」「損切りしたらチャートを閉じる」。この2つです。
- コツコツドカンの正体は「勝ち幅 < 負け幅」と「損切り後のリベンジ」
- 勝率9割でも、1回のドカンでトータルはマイナスになる
- ドカンは「相場」ではなく「損切りの直後にやる1回」で起きる
- 直し方は、1回の損失額の固定と、切ったあと離れること
コツコツドカンとは何か

コツコツドカンは、次のようなトレードのパターンです。
- ふだんは小さい利益(数pips)を、こまめに確定する
- 勝率は高い。7〜9割勝つこともある
- でも、たまに損切りできずに大きく負ける
- その1回の負けが、小さい勝ち10回分、20回分に相当する
資金曲線を見ると、ゆるやかな右肩上がりの途中に、ときどきストンと大きな谷が入ります。コツコツ上げて、ドカンと落とす。だから「コツコツドカン」です。
やっかいなのは、勝率が高いので「手法は間違っていない」と思ってしまうことです。実際、勝率だけ見れば立派です。でも問題は勝率ではありません。1回の負けの大きさです。
なぜ起きるのか:勝ち幅 < 負け幅

数字で見ると分かりやすいです。10回トレードして、9回勝ち、1回負けたとします。
- 勝ち:9回 × +4,000円 = +36,000円
- 負け:1回 × −60,000円 = −60,000円
- 合計:−24,000円
勝率90%なのに、トータルはマイナスです。理由は単純で、1回の負け(6万円)が、勝ち15回分に相当するから。これでは、どれだけ勝率が高くても資金は減っていきます。
コツコツドカンの人は、この「勝ち幅 < 負け幅」の状態になっています。小さい利益をすぐ確定する(勝ち幅が小さい)一方で、負けは損切りできずに大きくなる(負け幅が大きい)。まず、勝ち1回と負け1回の大きさをそろえることが必要です。この考え方はリスクリワード比の考え方で詳しくまとめています。
ドカンの正体は「損切りの直後にやる1回」

ここが、僕がいちばん伝えたいところです。ドカンは、相場が急に動いたから起きるのではありません。損切りした直後の、自分の行動で起きます。
流れはいつも同じです。
- ルール通りに損切りする(ここまでは正しい)
- 「今の負けを取り返したい」という気持ちが出る
- 根拠が薄いのにエントリーする。あるいは「早く取り返すため」にロットを上げる
- 逆行しても「今度こそ戻る」と、決めていた損切りを動かす
- ドカン。コツコツ積んだ分が、1回で消える
僕が「100万まで増やしては減らす」を繰り返していた時期も、まさにこれでした。調子よく増やして、1回損切りする。すると「昨日までのペースを守りたい」と焦って、無駄なエントリーを繰り返す。ふだんは守れている損切りが、その日だけ守れない。そこで大きくやられて、また振り出しに戻る。
ドカンを防ぐカギは、①と②の間にあります。損切りした直後に「取り返そう」と動かず、いったんチャートを閉じる。それだけで、③④⑤は起きません。
あなたのコツコツドカン度チェック
次のうち3つ以上あてはまったら、コツコツドカンの対策をしたほうがいいです。
- 利確はいつも数pips。「伸ばす」より「取れるうちに取る」が口ぐせ
- 損切りの金額が、トレードによってバラバラ
- 月の負け額の大半が、1〜2回の大きな負けで説明できる
- 損切りした直後に、5分以内に次のエントリーをすることが多い
- 負けた日は、その負けを「その日のうちに」取り返そうとする
- 調子がいい日ほど、後半にロットを上げがち
共通点は、「1回の負けを、その場で受け入れられない」ことです。受け入れられないから、取り返そうとして、もっと大きな負けを作ります。
直し方1:1回の損失額を固定する

いちばん効くのがこれです。「1トレードで負けるのは、いくらまで」を先に決めて、毎回そこに固定します。
たとえば「1回の負けは資金の1%まで」と決めたら、資金100万円なら1回1万円。損切り幅が10pipsのときと20pipsのときで、ロット(枚数)のほうを調整して、失う金額を1万円にそろえます。損切り幅が広いトレードはロットを小さく、狭いトレードはロットを大きく。
ポイントは、固定するのが「枚数」ではなく「金額」だということです。「いつも10万通貨」と枚数を固定すると、損切り幅しだいで負け額が2倍、3倍に変わってしまいます。負け額をそろえれば、ドカン(1回だけ極端に大きい負け)は構造的に起きなくなります。金額の決め方は1トレードの損失は資金の何%かとFXのロット(取引数量)の決め方にまとめています。
直し方2:利確ルールも決めて、勝ち幅を負け幅にそろえる
コツコツドカンの人は、損切りだけでなく利確も気分でやっています。「少し含み益が出た」「減るのが怖い」で、すぐ確定してしまう。だから勝ち幅がいつも小さい。
ここも、ルールにします。
- 最低でも、損切り幅と同じpips伸びるまでは利確しない(リスクリワード1対1以上)
- できれば、直近の高値・安値やキリのいい価格など「利確の目標」を、入る前に決めておく
- 目標に届く前に決済したくなったら、それは「怖いから」であって「根拠」ではない、と自分に言う
勝ち幅が負け幅と同じかそれ以上になれば、勝率が5割まで下がっても、トータルはプラスに寄ります。「勝率を上げる」より「勝ち幅を伸ばす」ほうが、コツコツドカンには効きます。
直し方3:損切りしたら、その日はいったんチャートを閉じる
ドカンは「損切りの直後の1回」で起きる、と書きました。だから、損切りした直後に「もう1回」をやらせない仕組みをつくります。
- 損切りしたら、最低10分はチャートから離れる。飲み物を入れる、外に出る、何でもいい。値動きを見ない
- 1日の損切りは2回まで。2回損切りしたら、その日はもう終わり。チャートを閉じる
- 「今日中に取り返す」を禁止する。負けた分は、明日以降のトレードで、ふつうのペースで戻せばいい
連敗した直後は、判断力がいちばん落ちています。「取り返せそう」に見えても、それは冷静な分析ではなく、焦りが見せている幻です。1日の損失上限の決め方はFX「1日の損失上限」の決め方にまとめています。
直し方4:ドカンは「握った」ときに起きる。逆指値を動かさない
もうひとつ、ドカンが起きる典型が「逆指値を後ろにずらす」です。損切りラインに来たときに「もう少しで戻る」と、逆指値を動かす。動かした先でまた逆行して、また動かす。気づいたら、ふだんの損切りの3倍、4倍の含み損になっています。
対策はシンプルです。エントリーと同時に逆指値を置いて、置いたら二度と触らない。「今回だけ」を1回許すと、次も許してしまいます。逆指値を動かしたくなるのは、たいてい「損を確定させたくない」という気持ちで、これは損切りができない心理と対策と同じ問題です。
直し方5:記録で「ドカンの日」を可視化する
月末に、その月のトレードを振り返って、「大きく負けた日」だけを抜き出してみてください。
| 日付 | その日の損益 | 大負けした原因 | 共通点 |
|---|---|---|---|
| 9/3 | −52,000円 | 損切り後に取り返そうとして連打 | 1回目の損切りが引き金 |
| 9/18 | −41,000円 | 逆指値を2回ずらした | 1回目の損切りが引き金 |
たいていの場合、月のマイナスの大半が、2〜3日の「大負けした日」で説明できます。そして、その日には必ず「損切りの直後に取り返そうとした」「逆指値を動かした」という共通点があります。その日をなくすだけで、月の成績はプラスに変わります。ふだんのトレードを直す必要はありません。
「ある程度勝つと、なぜか負けだす」について
コツコツドカンと似た悩みで、「100万、200万までは増やせるのに、そこから必ず減らす」というものがあります。僕もこれを経験しました。
原因は、資金が増えたときに気が大きくなって、ルールがゆるむことです。ロットを勝手に上げる、利確を伸ばそうと欲張る、損切りを渋る。そして1回負けたときに「せっかく増やしたのに」と焦って、取り返しトレードに走る。金額が大きくなっているぶん、ドカンも大きくなります。
対策は同じで、「1回の負けは資金の◯%」を、資金が増えても比率で守り続けることです。資金が2倍になったら、1回の許容損失額も2倍になりますが、比率は変えない。増やし方の考え方は複利と単利どちらで増やすかにまとめています。この「一定のレベルから抜け出せない」話は、下の動画でも詳しく話しています。
コツコツドカンと「損切り貧乏」の違い
似た言葉に「損切り貧乏」がありますが、じつは逆の症状です。混同すると対策を間違えるので、整理しておきます。
- コツコツドカン:損切りが「遅い・できない」。だから負け1回が大きい。勝率は高いのにトータルで負ける
- 損切り貧乏:損切りが「早すぎる・多すぎる」。細かい損切りの積み重ねで資金が削れる。1回1回は小さい
どちらも「勝ち幅と負け幅のバランスが崩れている」点は同じですが、崩れ方が反対です。コツコツドカンの人が「損切りを早くしよう」と意識すると、今度は損切り貧乏になります。逆も同じです。
正しい直し方は、どちらも「損切りの位置を、金額や気分ではなくチャートの構造で決める」ことです。構造(この価格を割ったら想定が外れる、という場所)で決めれば、早すぎず遅すぎない位置に自然と落ち着きます。損切り貧乏のほうが気になる方は損切り貧乏から抜け出す5つのステップをどうぞ。
「取り返したい」気持ちとの付き合い方
ここまで「損切りしたらチャートを閉じる」と何度も書きましたが、実際にはそう簡単に離れられません。負けた直後は、頭の中が「取り返す」でいっぱいになります。
僕がやっているのは、「取り返す」を「明日でいい」に置き換えることです。今日の負けを今日中に取り返す必要は、どこにもありません。トレードは1日で終わるものではなく、来週も来月もあります。今日の−1万円は、来週のふつうのトレードで戻せばいい。そう考えると、焦って次を打つ理由がなくなります。
もうひとつは、「取り返しトレードで負けた過去」を思い出すことです。取り返そうとして入ったトレードが、うまくいった記憶はほとんどないはずです。むしろ、そこからさらに傷を広げた記憶のほうが多い。「前もこうやって大きくした」と思い出せれば、手が止まります。記録をつけていれば、その証拠が手元にあります。
よくある質問
スキャルピングで小さく利確するのは、コツコツドカンですか?
小さく利確すること自体は問題ありません。スキャルピングでも「勝ち幅と負け幅の比率」は決まっています。問題なのは、利確は小さいのに損切りだけ大きくなる(=比率が崩れる)ことです。損切り幅を利確幅と同じくらいに保てているなら、それはコツコツドカンではありません。
損切りを固定すると、少し伸ばせば勝てたトレードも切られてしまいます
それは「損切りが浅すぎる」場合です。損切りは金額で決めるのではなく、チャートの構造(この価格を割ったら想定が外れる、という場所)で決めます。その場所が遠いならロットを下げて、失う金額を一定に保ちます。損切り貧乏から抜け出す5つのステップもあわせてどうぞ。
取り返そうとする気持ちを、どうやって抑えたらいいですか?
気持ちは抑えられません。抑えるのではなく、「損切りしたらチャートを閉じる」という行動をルールにして、気持ちが動く前に画面から離れてください。衝動と行動の間に「離れる」を挟むだけで、取り返しトレードはかなり減ります。
コツコツドカンが直ったか、どう確認すればいいですか?
月末に「その月でいちばん負けた日」の損益を見てください。それが「ふだんの損切り2回分」で収まっていれば、ドカンは起きていません。この数字が月ごとに安定してきたら、直ってきたサインです。
まとめ
- コツコツドカンの原因は手法ではなく「勝ち幅 < 負け幅」と「損切り後のリベンジ」
- 勝率9割でも、1回のドカンでトータルはマイナスになる
- 1回の損失額を「金額」で固定する(枚数ではなく)
- 利確もルール化して、勝ち幅を負け幅にそろえる
- 損切りしたら、その日はいったんチャートを閉じる(1日2回まで)
- 逆指値は置いたら動かさない。月末に「大負けした日」を振り返る
まずは、「1回の負けは資金の1%まで」「損切り2回で今日は終了」の2つを決めて、1か月続けてみてください。ふだんのトレードを変えなくても、月の成績はプラスに寄っていきます。
この記事は、FXで勝てない理由と抜け出し方(全体像)の「負けの構造を外す」パートの1つです。全体の流れを確認したい方は、まず全体像からどうぞ。あわせて損切りができない心理と対策、損切り貧乏から抜け出す5つのステップ、リスクリワード比の考え方もどうぞ。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。


