「損切りはどこに置けばいいの?」「何pipsで切ればいいの?」「切った直後に、いつも戻っていく」。損切りの位置についての悩みは、とてもよく届きます。
結論からお伝えすると、FXの損切り位置は「金額」や「何pips」から決めるのではなく、チャートの上で「ここを抜けたら、入った理由がなくなる場所」に置きます。そのうえで、そこまでの距離(pips)からロットを調整して、損失額を決めた範囲におさめます。この記事では、損切りラインをチャートのどこに置くのか、その決め方と置き場所の目安、狩られにくい置き方を、僕がふだん考えていることもまじえてお話しします。
- FXの損切り位置は、どういう考え方で決めるのか
- 損切りを置く場所の目安(直近高値・安値、押し安値・戻り高値、水平線)
- 買いと売りでの損切り位置のちがい
- 損切りが狩られる理由と、狩られにくい置き方
- 損切りは何pipsにすればいいのか
- 僕が損切りラインを「線」ではなく「ゾーン」で見ている理由
FXの損切り位置は「シナリオが崩れる場所」に置く
損切りは、ただ「これ以上損をしないためのブレーキ」ではありません。「自分の考えがまちがっていた」と相場が教えてくれる場所に置くものです。
たとえば「この安値で下げ止まって、上がっていく」と考えて買ったなら、その安値をはっきり割ってしまった時点で、考えの前提がくずれています。そこからさらに持ち続けても、入った理由はもう残っていません。だから損切りは、エントリーの理由とセットで決まります。
逆にいうと、エントリーの理由があいまいなままでは、損切りの位置も決められません。損切りに迷うときは、まず「なぜここで入るのか」を言葉にすると、置き場所が見えてきます。
損切り位置の決め方は4つ。おすすめは「チャート→pips→ロット」の順番

損切りの決め方として、よく紹介されるのは次の4つです。
- 金額で決める:「3,000円負けたら切る」のように決める
- 資金の割合で決める:「資金の2%まで」のように決める
- pipsで決める:「いつも20pipsで切る」のように決める
- チャートで決める:直近の安値や水平線など、相場の節目を基準に決める
どれもまちがいではありませんが、「位置」を決めるのはチャートだけです。金額や割合は「いくらまで負けていいか」を決めるもので、チャートのどこで切るかは教えてくれません。金額から損切り位置を決めると、「2,000円の損になる場所」が、たまたま相場のど真ん中だったということが起きます。そこは、相場にとっては何の意味もない場所です。
なので順番は、①チャートで損切りの位置を決める、②エントリーからそこまでが何pipsかを測る、③その幅で負けても決めた損失額におさまるようにロットを調整する、です。金額や割合は③で使います。ロットの計算はFXのロットの決め方でくわしくまとめています。
損切りを置く場所の目安4つ
では、チャートのどこが「入った理由がなくなる場所」になるのか。よく使われる目安は次の4つです。
①直近の高値・安値
いちばん基本になる置き場所です。買いなら直近の安値の少し下、売りなら直近の高値の少し上に置きます。直近の安値を割ると、流れが変わったと判断しやすくなります。
②押し安値・戻り高値
上昇トレンドの中で、高値を更新するきっかけになった安値を「押し安値」、下降トレンドで安値を更新するきっかけになった高値を「戻り高値」と呼びます。ダウ理論では、押し安値を割ると上昇トレンドがくずれたと考えます。トレンドに乗って入るなら、ここが損切りの基準になります。くわしくはダウ理論の使い方でお話ししています。
③水平線(サポート・レジスタンス)
何度も止められている価格帯は、多くの人に意識されています。サポートで買うならその少し下、レジスタンスで売るならその少し上が損切りの候補です。水平線の引き方はFXの水平線の引き方にまとめています。
④レンジの上限・下限の外側
レンジを抜けたところで入るなら、抜けたレンジの中に戻ってきてしまった時点で「抜けた」という理由がなくなります。この場合は、レンジの上限・下限の少し内側から外側あたりが損切りの基準になります。
買いと売りで損切り位置はこう変わる

考え方は同じでも、買いと売りでは置く向きが逆になります。
- 買い(ロング):押し安値・直近安値・サポートの少し下
- 売り(ショート):戻り高値・直近高値・レジスタンスの少し上
売りのときに気をつけたいのが、スプレッドです。多くのチャートは売値(Bid)で表示されていますが、売りポジションの損切りは買い戻しなので、買値(Ask)で約定します。そのため、チャート上ではまだ高値に届いていないのに、スプレッドの分だけ早く損切りにかかることがあります。売りの損切りは、スプレッドの分も含めて少し上に置いておきます。
損切りが狩られる理由と、狩られにくい置き方

「損切りした瞬間に戻っていく」「自分の損切りだけ狙われている気がする」。これは「ストップ狩り」と呼ばれることもあります。誰かが自分だけを狙っているわけではなく、損切り注文が集まりやすい場所に、値動きが一度届きやすいというのが実際のところです。
直近の安値ちょうどや、150.00円のようなキリのいい数字ちょうどには、多くの人の損切りが集まります。そこに価格が届くと、損切りの注文がまとめて約定して、一時的に値が大きく動き、ヒゲだけ伸びて戻っていく、ということが起きます。
狩られにくくするために意識したいのは、次の3つです。
- ラインちょうどに置かない:安値の数pips下、高値の数pips上のように、少し外側に置く
- ヒゲの先を見る:直近の安値に長いヒゲがあるなら、実体ではなくヒゲの先を基準にする
- スプレッドが広がる時間を知っておく:早朝や経済指標の発表前後はスプレッドが広がりやすく、ふだんなら届かない損切りにかかることがある
ただし、外に置くほど損切りの幅は広がるので、次の「何pips」の話とセットで考えます。
損切りは何pips?固定のpipsで決めないほうがいい理由
「損切りは何pipsがいいですか?」という質問もよくいただきます。ただ、これには決まった答えがありません。同じドル円でも、5分足で見ているときと1時間足で見ているときでは、ふつうの値動きの大きさがまったくちがいます。東京時間の静かな時間と、ロンドン時間・ニューヨーク時間の動きやすい時間でもちがいます。
「いつも20pipsで切る」と決めると、値動きが大きい日はふつうの上下で切られ、小さい日は流れが変わってもまだ持ち続けることになります。
だから、pipsは「決めるもの」ではなく、チャートで決めた損切り位置までの距離を「測るもの」です。測ってみて幅が大きすぎるなら、ロットを下げるか、そのトレードを見送ります。値動きの大きさの目安を知りたい場合は、ATR(平均的な値幅を表すインジケーター)を参考にする方法もあります。
損切り位置が遠すぎるときは「ロットを下げる」か「見送る」
チャートで損切り位置を決めると、ときどき「入りたいけれど、損切りまでが遠い」という場面があります。このときに損切りを近くにずらしてしまうと、意味のない場所に置くことになり、ふつうの値動きで切られやすくなります。
計算の例で見てみます。資金が30万円で、1回の損失を資金の2%の6,000円までにすると決めているとします。ドル円の場合、1万通貨なら1pipsの動きでおよそ100円の損益になります。
- 損切りまで20pipsなら:20pips×100円=1万通貨あたり2,000円 → 6,000円÷2,000円=3万通貨まで
- 損切りまで40pipsなら:40pips×100円=1万通貨あたり4,000円 → 6,000円÷4,000円=1.5万通貨まで
損切りが遠いなら、位置ではなくロットを小さくします。狙える利益が損切り幅に比べてとても小さいなら、見送ります。
僕の考え:損切りラインは「線」ではなく「警戒するゾーン」で見る

ここからは、僕がYouTubeでもくり返しお話ししていることです。
たとえば、意識されているラインを上に抜けたから買った、というトレードがあるとします。このとき、価格がそのラインまで戻ってきたところで、こわくなって決済してしまう方がとても多いです。でも、そもそもそのラインをエントリーの基準にしたのは、多くの人に意識されているラインだからですよね。意識されているラインなら、そこで反発することもあれば、少し抜けてから戻ってくることもあります。そのラインまで戻ってきたこと自体は、まだ「考えがまちがっていた」ことにはなりません。
なので僕は、エントリーの根拠になったラインを「第一の損切りライン」として見つつも、1本の線で「抜けたら終わり」とは考えず、「この付近は警戒するゾーン」として見ています。そして、そのゾーンをはっきり抜けたら必ず切る、という場所をその外側に探します。さらに上や下に意識されるラインがあれば、それも見ておきます。
いちばんもったいないのは、反発しそうなところで、ちょうど切ってしまうことです。最初から「どこまで見るのか」を決めておけば、気持ちに余裕を持ってチャートを見られます。
そして、そのゾーンの外までの距離が決まったら、そこまで行ったときにいくら負けるのかを計算して、ロットを調整します。エントリーした時点で、最大の損失額がわかっている状態にしておけば、含み損が出ても「ここまで行っても、損はこれだけ」と思えるので、ちょっとした値動きで慌てて切ることが減ります。「2%で2,000円になったら切る」のように金額だけを基準にするのではなく、その2,000円に届く場所がチャートの上でどういう場所なのかを見る。ここが大事だと僕は考えています。
この話は、こちらの動画でも実際のチャートを使ってお話ししています。
エントリー前に損切り位置を決める5つの手順
損切りの位置は、エントリーしてから考えると、どうしても含み損の金額に気持ちが引っぱられます。入る前に、次の順番で決めておきます。
- 入る理由を言葉にする:「この安値で止まって上がる」「このラインを抜けたから上に行く」など
- その理由がなくなる場所を探す:押し安値・戻り高値、直近の高値・安値、水平線
- ゾーンとヒゲ・スプレッドの分だけ外に置く:ラインちょうどには置かない
- エントリーからの距離を測る:何pipsあるかを確認する
- ロットを決めて、逆指値を入れる:損失額が決めた範囲におさまるように調整し、注文と同時に損切りを入れておく
エントリーのポイントが来る前から、「ここで入るなら損切りはここかな」と考えておくと、いざ入るときに慌てずにすみます。
損切り位置でやりがちな失敗4つ
①入ったあとに損切りを遠くへ動かす
含み損がふくらむと、「もう少しで戻るかもしれない」と損切りを遠くに動かしたくなります。でもこれは、最初に決めた「考えがまちがっていた場所」をなかったことにしているのと同じです。損切りを動かしてしまう気持ちの面については、損切りができない心理と対策でくわしくお話ししています。
②金額やpipsだけで位置を決める
金額だけで決めると、チャートの上では意味のない場所で切ることになります。金額はロットで合わせ、位置はチャートで決めます。
③損切りを近くに置きすぎる
損を小さくしたくて、エントリーのすぐ近くに損切りを置くと、ふつうの上下だけで切られてしまいます。小さな損切りが何回も続いて、気づけば資金が減っているという状態です。
④エントリーが遅く、みんなの決済ポイントで入っている
形ができてしばらくたってから入ると、多くの人が利益を確定するあたりで入ることになり、すぐに戻されやすくなります。損切りまでの距離も遠くなります。入る場所が遅れていないかも振り返ってみてください。
よくある質問
FXの損切りは何pipsが目安ですか?
決まった目安はありません。時間足、通貨ペア、時間帯によってふつうの値動きの大きさがちがうからです。チャートで「入った理由がなくなる場所」を決めて、そこまでの距離を測ったものが、そのトレードの損切り幅になります。
損切りラインは直近安値のちょうどに置いてもいいですか?
ちょうどに置くのはおすすめしません。直近安値ちょうどには損切り注文が集まりやすく、ヒゲで一瞬だけ届いて戻ることがあります。ヒゲの先やスプレッドも考えて、少し外側に置くほうが、ふつうの値動きで切られにくくなります。
損切りしたあとに戻るのは、ストップ狩りですか?
損切りが集まる場所に価格が届き、一時的に動いて戻ることはよくあります。ただ、毎回のように損切り直後に戻るなら、損切りの位置がラインに近すぎるか、エントリーのタイミングが遅れている可能性があります。記録を残して、どこに置いていたかを見返してみてください。
損切りは逆指値で入れておくべきですか?
エントリーと同時に逆指値で入れておくのがおすすめです。手で切ろうとすると迷いが出やすいからです。ただし週明けや大きな指標のときは、決めた価格より不利なところで約定することもあります。
損切りとセットで決める利確の場所は、FXの利確タイミングの決め方をどうぞ。
まとめ
- FXの損切り位置は、「ここを抜けたら入った理由がなくなる場所」に置く
- 順番は「チャートで位置を決める→pipsを測る→ロットで損失額を合わせる」
- 置き場所の目安は、直近高値・安値、押し安値・戻り高値、水平線、レンジの外側
- ラインちょうどには置かず、ヒゲとスプレッドの分だけ外に余裕をとる
- 損切りは何pipsと決めるものではなく、チャートで決めた位置までを測るもの
- エントリーの根拠になったラインは「警戒ゾーン」。ゾーンをはっきり抜けたら切る
損切りが続いて資金が減っている方は、「損切り貧乏」から抜け出す5つのステップもあわせてどうぞ。
僕のYouTubeを見てくれている方が集まるコミュニティでは、エントリーと損切りの位置を報告し合って、一緒に振り返りをしています。自分の損切りの置き方が合っているか気になる方は、のぞいてみてください。
- YouTube:【Mr.K】トレードチャンネル
- X(旧Twitter):@mrk__fx
- FXを無料で学ぶコミュニティ:FX TRADE CLUB
※本記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。


