FXの「破産確率」の考え方|11年勝ち続けた僕が表の数字より「20連敗テスト」を見る理由

資金管理・リスク管理

「勝てる手法さえ見つかれば、あとは増えていくだけ」。そう思っていた時期が、僕にもありました。でも実際には、勝率もリスクリワードも悪くないのに、口座を飛ばして退場する人がたくさんいます。僕自身がそうでした。

僕はFXを12年やってきて、11年連続で年間収支をプラスで終えています。ただ、勝てるようになる前の半年〜1年は、そこそこ機能する手法を持っていたのに、1回のロットが大きすぎて、数連敗しただけで資金の半分を失うということを繰り返していました。手法の問題ではなく、「1回にいくら賭けているか」の問題だったんです。

この「連敗だけで口座がなくなる確率」を数字にしたものが、破産確率(バルサラの破産確率とも呼ばれます)です。この記事では、破産確率が何で決まるのか、そして僕が実際にどうチェックしているのかをお話しします。

  • 破産確率は「勝率・リスクリワード・1回のリスク%」で決まる
  • 勝率が高いだけでは破産は防げない理由
  • 1回のリスクを資金の2%に抑えると、なぜ効くのか
  • 僕が実際にやっている「20連敗テスト」

破産確率とは「連敗だけで口座がなくなる確率」のこと

破産確率が3つの要素で決まることを示す図。左に「①1回のリスク(資金の何%を賭けるか)」「②勝率(勝ちトレードの割合)」「③リスクリワード(勝ち1回と負け1回の大きさの比)」の3つのカードが並び、矢印で右の「破産確率=連敗が続いたときに、口座の資金が底をつく確率」につながっている図
手法そのものより、「1回にいくら賭けるか」が破産確率を大きく動かします。

破産確率は、次の3つが決まれば計算できます。

  1. 1回のリスク:1トレードの損切りで、資金の何%を失うか
  2. 勝率:トレードのうち、勝ちで終わる割合
  3. リスクリワード:勝ちトレード1回と負けトレード1回の、大きさの比

この3つから、「トレードを続けていったときに、途中で資金がゼロ(または再起不能なレベル)まで減ってしまう確率」が出ます。それが破産確率です。

大事なのは、トータルではプラスになる手法でも、破産確率はゼロではないということです。勝ちトレードと負けトレードは、きれいに交互には来ません。負けが5回、6回と固まって続くことは、確率的にふつうに起きます。その「負けの固まり」が来たときに口座が耐えられなければ、いくら期待値がプラスでも、そこで終わってしまいます。

破産確率の「表」のイメージ

1回のリスクを資金の2%に固定したときの破産確率のイメージ表。縦軸が勝率(30%・40%・50%)、横軸がリスクリワード(1対1・1対1.5・1対2)。勝率50%×リスクリワード1対2ならほぼ0%、勝率40%×1対2なら数%、勝率40%×1対1では非常に高い、勝率30%×1対1ではほぼ100%、というように、右上に行くほど安全・左下に行くほど破産に近づくことを色の濃さで示した図
1回のリスクを資金の2%に抑えても、勝率とリスクリワードが両方低いと破産確率は跳ね上がります。

破産確率は、細かい数式で計算されます。ここでは数式そのものより、表を見たときの感覚をつかんでください。

1回のリスクを資金の2%に固定したとして、ざっくり言うとこうなります。

  • 勝率50%・リスクリワード1対2:破産確率はほぼ0%。かなり安全
  • 勝率40%・リスクリワード1対2:破産確率は数%。まだ許容範囲
  • 勝率40%・リスクリワード1対1:破産確率がぐっと上がる。危険
  • 勝率30%・リスクリワード1対1:ほぼ確実に破産する

ポイントは2つあります。ひとつは、勝率とリスクリワードのどちらか一方が良ければいい、というわけではないこと。両方がある程度そろって、はじめて破産確率が下がります。この関係は勝率とリスクリワードのバランスで詳しくまとめています。

もうひとつは、この表は「1回のリスクが2%」という前提でできていること。ここが5%、10%になると、同じ勝率・リスクリワードでも破産確率は一気に上がります。次で見ていきます。

1回のリスクを2%に抑えると、なぜ破産しにくくなるのか

1回のリスクを変えて20連敗したときの資金の残り方を比較した図。スタート資金を100とし、1回のリスクが資金の2%なら20連敗しても約67残る、5%なら約36残る、10%なら約12しか残らない、という3本の減衰カーブを描いている。2%なら立て直せるが、10%では20連敗で口座がほぼ壊滅することを示す図
同じ20連敗でも、1回のリスクが2%なら約3分の2が残り、10%なら1割程度しか残りません。

1回のリスクを資金の何%にするかで、連敗に対する耐久力がまったく変わります。スタート資金を100として、20回連敗したときの残高を比べてみます。

  • 1回のリスク2%:20連敗しても、資金は約67残る。まだ十分に立て直せる
  • 1回のリスク5%:20連敗すると、資金は約36。かなり苦しい
  • 1回のリスク10%:20連敗すると、資金は約12。ほぼ再起不能

ここで効いているのは、「%で減っていく」という性質です。10%ずつ減ると、10回で約35、20回で約12まで落ちます。一方2%ずつなら、20回でようやく約67です。1回のリスクを小さくするほど、連敗が続いても資金が残り、次のチャンスを待てるということです。

破産確率の計算でも、この「1回のリスク」がいちばん大きく効きます。勝率や手法を改善するのは時間がかかりますが、ロットを半分にするのは今日からできる。破産確率を下げるいちばん手っ取り早い方法は、実はここです。具体的な決め方は1トレードの損失は資金の何%かにまとめています。

「破産」までいかなくても、戻れなくなるドローダウンがある

資金が減ったときに、元の金額まで戻すのに必要なリターンを示す図。マイナス10%なら約11%のプラスで戻る、マイナス30%なら約43%、マイナス50%なら100%(資金2倍)、マイナス70%なら約233%が必要、という棒グラフ。減り方が大きいほど、戻すのに必要なリターンが不釣り合いに大きくなることを示している図
マイナス50%からは「資金を2倍にする」必要があります。減るほど戻すハードルが跳ね上がります。

破産確率は「ゼロになる確率」ですが、現実にはゼロになる前に心が折れるほうが先です。ここで知っておいてほしいのが、「減った資金を元に戻すのに必要なリターン」の非対称性です。

  • マイナス10% → 元に戻すには約11%のプラスが必要
  • マイナス30% → 約43%のプラスが必要
  • マイナス50% → 100%(資金を2倍に)が必要
  • マイナス70% → 約233%のプラスが必要

マイナス10%くらいなら、ふつうに取り返せます。でもマイナス50%まで来ると、「今までと同じやり方で、資金を2倍にする」ことが必要になります。これは現実的にとても難しく、たいていの人はここで焦ってロットを上げ、さらに深い穴を掘ります。

だからこそ、「破産しなければいい」ではなく、「マイナス20〜30%で止まる形」を先に作っておくことが大事です。1回のリスクを2%に抑え、1日の損失上限を決めておけば、そもそもこの深いドローダウンに入りにくくなります。

破産確率を下げる3つの手と、その優先順位

破産確率を下げる方法は3つしかありません。優先順位をつけて説明します。

① 1回のリスクを下げる(最優先・今日からできる)。資金の5%賭けているなら2%に。それだけで破産確率は大きく下がります。手法をいじる必要はありません。効果がいちばん大きく、すぐにできる。ここから手をつけます。

② リスクリワードを上げる(次にやる)。「勝ちのpipsを、負けのpipsより大きくする」。損切りを近く、利確を遠くに置く意識です。1対1で取っている人が1対1.5にするだけで、破産確率はかなり改善します。リスクリワード比の考え方を参考にしてください。

③ 勝率を上げる(時間がかかる)。エントリーを絞る、環境認識をていねいにやる、勝てる場所だけで入る。効果はありますが、身につくまで時間がかかります。①②を先に固めてから、じっくり取り組む部分です。

多くの人が③から手をつけて、いつまでも「もっといい手法」を探し続けます。でも、破産を避けるだけなら①だけでほぼ足りる。順番を間違えないでください。

僕が実際にやっている「20連敗テスト」

破産確率の表や数式は、参考にはなりますが、僕はあまり細かく計算しません。代わりに、もっとシンプルなチェックをしています。

それが「今のロットで20連敗したら、口座はいくら残るか?」という問いです。

やり方はかんたんです。今の1回の損切り額(円)に20を掛けて、それを口座残高から引いてみる。たとえば1回の損切りが2万円で、口座が100万円なら、20連敗で40万円のマイナス。残り60万円です。「これなら立て直せるな」と思えれば、そのロットはOK。「さすがにきつい」と感じたら、ロットを下げます。

なぜ20回かというと、勝てる手法でも10連敗くらいは長くやっていれば必ず経験するからです。その倍の20連敗を想定しておけば、たいていの「負けの固まり」には耐えられます。20連敗して口座が半分以上残るロットなら、破産確率はほぼ気にしなくていいレベルです。

この方法のいいところは、勝率もリスクリワードも使わずに、今すぐ電卓だけでできることです。破産確率の正確な数字を出すより、「連敗しても生き残れるか」をざっくり確認するほうが、実戦では役に立ちます。

破産確率の「表」を過信しないほうがいい

最後に、注意点をひとつ。破産確率の表や計算は、「勝率もリスクリワードも、ずっと一定」という前提でできています。でも現実には、この前提はよく崩れます。

  • 相場つきが変わると、勝率が一時的に大きく下がる
  • 連敗して熱くなると、決めていた損切りを守れず、リスクリワードが崩れる
  • 調子がいいときに勝手にロットを上げて、1回のリスク%が変わる

つまり、表の上では「破産確率2%」でも、ルールを守れなければ、実際の破産確率はもっと高いということです。だから僕は、表の数字を信じる代わりに、「20連敗しても口座が半分残るロットか」「連敗した日にちゃんとチャートを閉じられるか」という、自分が守れるかどうかのほうを重視しています。

破産確率の考え方は、あくまで「1回のリスクを小さくすることの大切さ」を実感するためのものだと思ってください。数字を正確に出すことが目的ではありません。

よくある質問

破産確率は何%以下なら安全ですか?

一般には1%以下を目安にすることが多いですが、僕は数字そのものより「20連敗して口座が半分以上残るか」で見ています。1回のリスクを資金の2%以内にして、勝率とリスクリワードが極端に悪くなければ、破産確率は自然と十分低くなります。

勝率が高ければ、リスクリワードは悪くてもいいのでは?

危険です。勝率7割でもリスクリワードが1対0.3(勝ち3・負け10)なら、期待値はマイナスで、破産確率も高くなります。いわゆる「コツコツドカン」がこの状態です。勝率とリスクリワードは必ずセットで見てください。損切り貧乏から抜け出す5つのステップもあわせてどうぞ。

資金が少額(10万円)でも破産確率は考えるべきですか?

むしろ少額のときこそ重要です。少額だと1回のリスク%が大きくなりがちで、数連敗であっという間に半分になります。少額のうちは「増やす」より「退場しない」を目標に、1回のリスクをかなり小さめ(1%以下)にするのがおすすめです。

複利でロットを上げていくと、破産確率は上がりますか?

1回のリスク%を一定に保っていれば、理屈のうえでは破産確率は変わりません。ただ実際には、増えた直後に気が大きくなってリスク%を上げてしまいがちです。複利と単利どちらで増やすかで書いたとおり、複利は勝ちが安定してからにしてください。

バルサラの破産確率と、この記事の考え方は同じものですか?

はい。バルサラの破産確率は、勝率・リスクリワード(損益レシオ)・1回の掛け金の比率から破産確率を求める表として知られています。この記事は、その表を細かく計算する代わりに「連敗に耐えられるか」という形で実戦的に使う方法を紹介しています。

まとめ

  • 破産確率=「1回のリスク%・勝率・リスクリワード」で決まる、連敗で口座が底をつく確率
  • 期待値がプラスの手法でも、破産確率はゼロではない。負けは固まって来る
  • いちばん効くのは「1回のリスクを下げる」こと。今日からできて効果が大きい
  • マイナス50%からは資金を2倍にする必要がある。深いドローダウンに入らない形を先に作る
  • 僕のチェックは「今のロットで20連敗したら口座はいくら残るか」だけ
  • 表は「勝率・リスクリワード一定」が前提。ルールを守れるかのほうが大事

まずは、今の1回の損切り額に20を掛けて、口座から引いてみてください。「これなら立て直せる」と思えるロットになっているか。そこが破産確率対策のスタートです。


この記事は、FXの資金管理のやり方(全体像)の一部です。資金管理を最初から順番に読むなら、まずそちらをどうぞ。FX初心者ロードマップの「資金管理」パートにあたる内容です。あわせて1トレードの損失は資金の何%か勝率とリスクリワードのバランスもどうぞ。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。

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