FXのロスカットとは?証拠金維持率の計算とロット別の目安、強制ロスカットを避けるには

資金管理・リスク管理

FXのロスカットとは、含み損がふくらんで証拠金維持率が一定の水準を下回ったときに、FX会社がポジションを自動で決済する仕組みです。「ロスカットって何%で起きるの?」「自分の口座は、あと何pips耐えられるの?」「強制ロスカットを避けるにはどうすればいいの?」。そんな疑問に、この記事では計算の例もまじえて順番にお答えしていきます。

先にお伝えしておくと、僕はロスカットを「最後の安全装置」だと考えています。安全装置なので、ふだんは動かないのがいちばんいい状態です。ロスカットに助けてもらうトレードではなく、その手前で自分の損切りが先に来るトレードをどう作るか。そこまでお話しします。

  • ロスカットの仕組みと、証拠金維持率の計算
  • ロット別に「ロスカットまで何pipsあるか」の目安
  • マージンコールと、ロスカットされたあとのこと
  • ロスカットと損切りの違い
  • ロスカットされる人のパターンと、避けるために入る前に決めること

FXのロスカットとは?自動で決済される「最後の安全装置」

FXでは、口座に入れたお金(証拠金)を担保にして、その何倍もの金額を取引できます。そのぶん、相場が逆に動いたときの含み損も大きくなります。含み損が口座のお金をこえてしまう前に、FX会社がポジションを強制的に決済して損失をそこで止める。これがロスカット(強制ロスカット)です。

国内のFX会社には、2009年に金融庁がロスカットのルールを整えて守ることを義務付けています。利用者の損失が口座のお金を大きくこえないようにするためです。

ただ、ロスカットはあくまで「口座が大きく壊れないための仕組み」であって、「上手に損切りしてくれる仕組み」ではないということです。ロスカットが動くころには、口座のお金はもう大きく減っています。

証拠金維持率とは?ロスカットの判定に使う数字

ロスカットになるかどうかは、証拠金維持率という数字で決まります。計算式は次のとおりです。

証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

  • 有効証拠金:口座のお金に、今持っているポジションの含み損益を足し引きした金額(会社によっては「純資産」と呼びます)
  • 必要証拠金:ポジションを持つために必要なお金。個人のFXでは、取引金額の4%以上(レバレッジは最大25倍)と決められています
FXのロスカットと証拠金維持率の仕組みの図解。証拠金維持率は有効証拠金を必要証拠金で割って100をかけた数字。含み損がふえると有効証拠金が減って維持率が下がり、マージンコールの水準で警告、ロスカットの水準を下回るとポジションが自動で決済される
含み損がふえるほど、証拠金維持率は下がっていく

含み損がふえると有効証拠金が減るので、維持率は下がっていきます。必要証拠金もそのときのレートで計算されるので、証拠金維持率はトレードしているあいだずっと動いている数字だと考えてください。

ロスカットは何%で起きる?水準は会社ごとに違う

ロスカットになる証拠金維持率の水準は、FX会社ごとにちがいます。国内では、100%を下回ったらロスカットという会社もあれば、80%を基準にしている会社もあります。自分で水準を選べる会社もあります。

なので、「ロスカットは何%」とひとことでは言えません。使っている会社の公式サイトで、ロスカットの水準とマージンコールの水準を一度たしかめておくのが確実です。取引画面に「ロスカット値」や「ロスカットレート」として、あといくらでロスカットになるかを表示してくれる会社も多いので、そこも見ておくと安心です。

この記事では「維持率100%でロスカット」の例で計算します。

ロスカットの計算|ロット別に「あと何pips耐えられるか」

ここからは、ロスカットまでの距離を実際に計算してみます。条件は次のとおりです。

  • 口座のお金:30万円
  • 通貨ペア:ドル円(レート150円)
  • 必要証拠金:取引金額の4%(レバレッジ25倍)
  • ロスカット:証拠金維持率100%

ドル円を1万通貨持つと、取引金額は150万円、必要証拠金はその4%の6万円です。証拠金維持率は30万円÷6万円×100で500%。ロスカットは有効証拠金が6万円まで減ったときなので、含み損が24万円になるまでは耐えられます。1万通貨なら1pips動くと100円の損益なので、24万円÷100円で約2,400pips(24円)です。

同じ30万円の口座で、ロットだけを変えるとこうなります。

ロスカットの計算例の図解。口座30万円、ドル円150円、必要証拠金4パーセント、ロスカット水準100パーセントの場合、1万通貨は証拠金維持率500パーセントでロスカットまで約2400pips、3万通貨は約167パーセントで約400pips、4万通貨は125パーセントで約150pips。ロットを上げるほどロスカットまでの距離は一気に縮む
口座のお金が同じでも、ロットでロスカットまでの距離は大きく変わる
  • 1万通貨:必要証拠金6万円・維持率500%・ロスカットまで約2,400pips
  • 3万通貨:必要証拠金18万円・維持率約167%・ロスカットまで約400pips
  • 4万通貨:必要証拠金24万円・維持率125%・ロスカットまで約150pips

ロットを4倍にしただけで、耐えられる幅は2,400pipsから150pipsまで縮みます。ドル円が1日に100pips以上動くことはめずらしくないので、4万通貨だと、指標や要人発言で一気に動いた日にはロスカットが現実的になってきます。

※レートの変化による必要証拠金の増減や、スプレッド・スワップは入れていない、おおよその計算です。実際の数字は取引画面の表示でたしかめてください。pipsと損益の計算はFXのロットの決め方でもくわしくお話ししています。

マージンコールとは?ロスカットの手前の警告

マージンコールは、証拠金維持率がロスカットの水準に近づいたときに出る警告です。会社によって「アラート」などと呼び方はちがい、メールや取引画面で知らせてくれます。

マージンコールが来たときにできることは、主に2つです。

  • ポジションの一部か全部を決済する:必要証拠金が減るので、維持率が上がります
  • 口座に入金する:有効証拠金がふえるので、維持率が上がります

ただ、入金には注意が必要です。マージンコールが来ている時点で、そのポジションはもう大きな含み損をかかえています。そこにお金を足すのは、ロスカットを先に延ばしているだけで、相場がさらに逆に動けば、足したお金ごと減っていきます。「入金して耐える」は、僕はおすすめしていません。マージンコールが来るような状態は、そもそも入ったときのロットが大きすぎたサインだと考えています。

ロスカットされたらどうなる?損失が残ることもある

ロスカットになると、ポジションは自動で成行で決済され、含み損はそのまま損失として確定します。すべてのポジションが決済される会社が多いです。口座には、そのとき残っていた有効証拠金くらいのお金が残ります。

注意したいのは、ロスカットは「決めた水準ぴったりで決済されること」を約束するものではないという点です。週明けの窓開けや、指標で値が飛んだときなどは、ロスカットの水準よりかなり不利な価格で決済されることがあります。その結果、口座のお金以上の損失が出て、不足分の入金を求められることもあります。国内のFX会社の公式サイトにも、そのことがはっきり書かれています。

ちなみに、海外FXの中には「ゼロカット」という仕組みを用意しているところがあり、口座残高がマイナスになっても、そのマイナス分をリセットしてくれます。仕組みや注意点はXMのゼロカットとは?でまとめています。ただ、ゼロカットがあっても、口座のお金を失うことに変わりはありません。どちらの場合も、ロスカットやゼロカットのお世話にならないトレードをすることが前提です。

ロスカットと損切りの違い

ロスカットと損切りは、どちらも「損失を確定させる決済」ですが、中身はまったくちがいます。

ロスカットと損切りの違いの図解。損切りは自分で決める決済で、入る前に場所と損失額を決められ、1回の損失は資金の数パーセントにおさえられる。ロスカットはFX会社が強制的に行う決済で、場所も損失額も選べず、口座の大部分を失った状態で動く
損切りは自分で決める。ロスカットは決められない
  • 損切り:自分で決める決済。どこで切るか、いくら負けるかを入る前に決められる。1回の損失を口座の数%におさえられる
  • ロスカット:FX会社が強制的に行う決済。場所も金額も選べない。動くころには口座の大部分を失っている

先ほどの例でいうと、30万円の口座で3万通貨を持ち、20pipsのところに損切りを置いていれば、負けても6,000円(口座の2%)です。ロスカットは400pips先なので、そこまで行く前に自分の損切りで終わります。反対に、損切りを置かずにロスカットまで持ってしまうと、負けは12万円。同じトレードでも、損切りがあるかないかで、負けの大きさが20倍ちがってきます。

「ロスカットがあるから損切りはいらない」というのは、いちばん危ない考え方なんですよね。

ロスカットされる人の3つのパターン

ロスカットになる人のトレードを見ていると、だいたい次の3つのどれかに当てはまります。

①損切りを置かない・あとからずらす

「もう少し待てば戻るはず」と思って損切りを置かなかったり、近づいてきた損切りを遠くへずらしたりする。大きな負けのほとんどは、ここから生まれます。戻らなかったとき、含み損はロスカットまでふくらみ続けます。

②取り返そうとしてロットを上げる

負けた直後に「次で取り返そう」とロットを上げる。冷静さを失っているときは、入る場所もあまくなりがちです。大きいロットで入ったぶん、ロスカットまでの距離も一気に縮まります。

③口座ギリギリまでポジションを持つ

「証拠金が足りるから」と、口座のお金で持てる上限近くまでロットを入れる。先ほどの計算のとおり、維持率に余裕がないと、ふつうの値動きでもロスカットが近づきます。

3つに共通しているのは、入る前に「いくら負けるか」を決めていないことです。逆にいえば、ここを先に決めておけば、ロスカットはほとんど起きなくなります。

強制ロスカットを避けるには|入る前に決める4つのこと

強制ロスカットを避けるために入る前に決める4つのことの図解。1損切りの場所を決める、2損失額を口座の数パーセントまでに決める、3損切りの幅と損失額からロットを出す、4損切り注文をエントリーと同時に入れて動かさない。そうすれば自分の損切りがロスカットより先に来る
この順番で決めれば、自分の損切りがロスカットより先に来る

①損切りの場所を決める

「ここを抜けたら、入った理由がなくなる」という場所を、入る前に決めます。損切りの置き方はFXの損切りの置き方でくわしくお話ししています。

②1回の損失額を決める

1回のトレードで負けてもいい金額を、口座のお金の数%までに決めます。考え方は1回のトレードで許せる損失は資金の何%かにまとめています。

③損切りの幅と損失額からロットを出す

ロットは「持てるだけ」ではなく、損失額を損切りの幅で割って出します。30万円の口座で損失を2%(6,000円)、損切りの幅を20pipsにするなら、1pipsあたり300円まで、つまりドル円なら3万通貨です。この順番なら、証拠金維持率にも自然と余裕が残ります。

④損切り注文を同時に入れて、動かさない

エントリーと同時に逆指値の損切り注文を入れて、あとからずらさないことです。意思の強さにたよるより、ずらせない形を先に作っておくほうが確実です。

僕の考え:ロスカットは損切りの代わりではない

僕の話をすると、トレードの前にいつも決めているのは「この形になったら入る」というパターンです。入る場所が決まっていれば、どこを割ったら決済するかも、入る前に決まります。損切りのポイントがエントリー前にはじき出せれば、その損切り幅に合わせてロットを調整できる。そうすると、エントリーする前から損失額をコントロールできるんですよね。最大でいくら負けるのかがわかっていれば、大きな不安におそわれることもありません。

僕自身、損切りの価格を少しずつ遠くへずらしていった経験があります。もう少し待てば戻るだろうと思いながらずらして、結局戻らずに、気づいたら取り返しのつかない金額になっていた。一度は、1か月分、2か月分の利益をそれで飛ばしたこともあります。それ以来、エントリーする前に損切りの価格を決めて注文と一緒に入れる、決めた場所は動かさない、というのを自分との約束にしています。

大きく負けたあとの回復のたいへんさも、数字で知っておいてほしいところです。資金の半分を失うと、元に戻すには残ったお金を2倍にしないといけません。ロスカットまで持ってしまうというのは、この「半分以上を失う」を一度に起こすということです。

負けている人のトレードを思い返してみると、必ずどこかで無茶をしています。ちゃんと損切りできていれば、資金に対する%を守っていれば、資金が溶けることはないんですよね。ロスカットは、無茶をしてしまったときに口座を守ってくれる最後の安全装置であって、損切りの代わりではありません。

https://www.youtube.com/watch?v=YzAvYqDYKBQ
大きく負けない人がやめている3つのこと(動画でお話ししています)

よくある質問

ロスカットされたら、お金はどうなりますか?

ポジションが決済されて損失が確定し、そのとき残っていた有効証拠金くらいのお金が口座に残ります。ただ、相場が急に動いたときは不利な価格で決済され、残るお金がさらに少なくなることがあります。

ロスカットで借金になることはありますか?

国内のFX会社では、相場の急変でロスカットが間に合わず、口座のお金以上の損失が出たときは、不足分の入金を求められることがあります。めったにないことですが、ゼロではありません。ロットを小さくして、ロスカットから遠いところでトレードすることがいちばんの対策です。

マージンコールが来たら、どうすればいいですか?

ポジションの一部か全部を決済するか、入金して維持率を上げるかです。僕は、入金して耐えるより、ポジションを減らすほうをすすめます。マージンコールが来るのは、ロットが口座に対して大きすぎるサインです。

ロスカットの水準は自分で変えられますか?

会社によっては、いくつかの水準から選べます。ただ、水準を下げても、ロスカットされたときに失うお金がふえるだけです。水準をいじるより、ロットを見直すほうが先です。

ロスカットまで追い込まれる原因になりやすい「ナンピン」については、FXのナンピンとは?をどうぞ。

まとめ

  • FXのロスカットは、証拠金維持率が会社の決めた水準を下回ると、ポジションが自動で決済される仕組み
  • 証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100。ロスカットの水準は会社ごとにちがうので公式でたしかめる
  • 同じ口座でも、ロットを上げるほどロスカットまでの距離は一気に縮む
  • マージンコールは警告。入金で耐えるより、ポジションを減らす
  • 急変時は、口座のお金以上の損失が出ることもある
  • ロスカットは最後の安全装置で、損切りの代わりではない。入る前に損切りの場所と損失額を決め、そこからロットを出す

ロットの出し方をもう一度たしかめたい方は、FXのロットの決め方もあわせてどうぞ。

僕のYouTubeを見てくれている方が集まるコミュニティでは、トレードの報告や振り返りを一緒にしています。損切りの場所やロットの決め方に迷ったときは、のぞいてみてください。


※本記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。ロスカットやマージンコールの水準、計算方法はFX会社ごとに異なりますので、ご利用の会社の公式情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引はご自身の判断と責任でお願いします。

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